障がい者雇用という働き方とキャリアプランニング

障がい者雇用という働き方とキャリアプランニング
障がい者雇用をステップの一つとして捉える

障がい者雇用、という言葉は聞いたことがある人が多いと思います。
実際にはどのような場で、どんな活用が出来るのか。
個人的見解ですが、障がい者雇用としての就労に足踏みしている方の参考になればと思います。

1.障がい者雇用とは何か(定義)

「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)に規定されている、身体・知的・精神(発達含む)障害者の就労の機会を促進する施策の一環としての雇用対策です。

内容としては主に

  • 公共団体、教育委員会、企業の雇用義務法定雇用率
  • 雇用した場合の調整金の支給について
  • 雇用義務を満たさない場合の納付金の徴収について
  • 就労の場における差別の禁止
  • 合理的配慮の提供

等が規定されています。

つまり、企業は規模(従業員数)によって一定の割合の障がい者(身体・知的・精神)手帳を保持している、就労を希望する者を雇用しなければいけない、その際に彼らを不当に差別してはならない、雇用に際しては雇用側・就労側それぞれに支援制度があるので、それらを利用して積極的に雇用していきましょう、と言う法律です。

一定の割合とは「法定雇用率」と呼ばれていますが、2022年8月時点では以下の通りです。

・国・地方公共団体・一定の独立行政法人…2.6%
・都道府県教育委員会等…2.5%
・一般事業主(従業員数が43.5人以上)…2.3%

wikipedia

2.一般的な雇用と何が違うのか

細かく記すと膨大になるので、詳細は厚生労働省HP等をご確認いただければと思いますが、現場にいた経験から申し上げると
「障害特性に対する配慮がある」
という点が一番大きいです。

例えばうつ病(精神障害者保健福祉手帳3級所持)で通院しているが、主治医から就労の許可が出たから働きたい、という場合。
懸念は、定時内(例えば9時~18時)ずっと集中力が持つか、毎朝ちゃんと起きられるか、また再発した時にすぐ解雇されないか、などだと思います。

うつ病は今や国民病です。誰でもなる可能性があることは働いている人なら実感していると思いますが、それと実際に隣の席にうつ病の人がいて適正に対処できるか、というのは別の話です。
一般雇用(障がい者雇用ではない就労形態)として入社すると、入社時にうつ病を申告していたとしても、いざ働き出したらほとんど配慮されないケースが多いと思います。

障がい者雇用の場合は、そもそもが障がい者(手帳を所持している人、またはそれに準ずる人)を対象としているので、うつ病であることが前提の職場です。
企業によって違いはありますが、障がい者を雇用する部署の責任者以外に、障がい者の特性に配慮して業務を配分する担当者がいます。「ジョブコーチ」という専門の研修を受けた担当者が常駐・派遣されている企業もあるので、障害別はもちろん、個人ごとの特性も踏まえ、入社から安定して就業できるようになるまでの定着支援も含めて細かく配慮します。

例えばうつ病であれば、仕事上の配慮はもちろん、体調管理・メンタル管理も重要です。
就労開始から疲れが溜まり始めるあたりで、睡眠リズムが崩れたり食欲が落ちたりする場合があります。
なので個別に面談等を行い、本人の負担が少なくなるような働き方を相談したりできます。

3.心強い支援者

障がい者雇用は原則ハローワーク経由で求人を行い、応募の際も必ずハローワークを通します。そうしなければ法定雇用率に算入されません。
ハローワークは誰でも利用できるので、自分で検索して応募してくる方もいますが、私はそれ以前に
・障がい者就労移行支援センター
・障がい者就業・生活支援センター

の利用をお薦めします。

障がい者枠で働こうとしている方のうち、精神障害の方で一番大きなハードルは「安定」です。
精神障害の方が身体障害等の方と比較して雇用されづらいのは、不安定性が高いせいです。
安定していれば能力やスキルが高い方が多いのですが、いつ何がきっかけで不安定になり、どうすれば安定するのかがとても難しい。

その時、企業とは逆側の目線で障がい者を支援してくれるのが、こうした支援機関の担当者です。
就労前の状態から、就労への意思、家庭の事情、本人の特性を、長ければ2年(障がい者就労支援センターの利用可能期間は最大24ヶ月)見続けているので、障がい者にとっても心安い相談相手です。

また、何かの理由で就労継続できなくなり退職となった場合も、一緒に次の職場を探してくれたり、新しい職場の悩みを相談するときも『前の会社では~~だったから辛かったんだよね』と理解してもらえます。

4.障がい者雇用はキャリアプランの一つ

一般就労か障がい者雇用か、を迷う場合、障がい者雇用を選ぶと、以後ずっと一般就労は出来ないのではないか、と考える方がいますが、それは違うと思います。
人それぞれですが、いずれ一般就労を目指したい、というなら、尚更リハビリの場として障がい者雇用を積極的に利用して欲しいと思います。

例えば一般就労にこだわって就転職を短期間で繰り返し、そのせいでうつ病が悪化していってしまうのと、1年限定と仮定し、障がい者雇用で安定して働き続け、体力と生活リズムを取り戻すことが出来るのとでは、長い目で見てどちらがいいでしょうか。
良いか悪いか、というより、後者のほうが今後の選択肢が広がると思います。

障がい者雇用は、正社員で月給20万円以上という採用はまだまだ少ないのが現状です。その為、特に働き盛りの年代の方は二の足を踏んでしまう気持ちは分かります。
ただ、将来的に正社員として働いて安定した収入を得たい、というなら、尚更その道程に「障がい者雇用」というワンクッションを置いて、確実にステップアップしていく方法をお薦めします。

また、うつ病(である・だった)ことを明示することで採用に難色を示すような会社は、そもそも相手にしないほうがいいです。そんな会社に無理に入社しても将来は暗いです。


一般企業等への就労以外に、「就労継続A型・B型」という働き方もあります。
どれが一番いい、とか、最終的な目標、と言うルールはありません。
これからどんな生活をしていきたいか、その中で「働く」ということがどんな意味を持つのか、を考えた上で、最適な道を見つけることが大事ではないか、と思います。

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