【メンタルケアラー体験⑥】怖いのは共倒れ ~実体験より~

【メンタルケアラー体験⑥】怖いのは共倒れ ~実体験から語る共倒れ予防~

パートナーがうつ病などのメンタルヘルスに問題を抱えてしまった時、一番怖いのはもう片方も病気になってしまう「共倒れ」です。
しかし実はこのリスクを抱えているご家族ご夫婦はとても多いと思います。

このコラムでは、私自身の体験を踏まえた共倒れの怖さと、その予防策についてお話したいと思います。
共倒れを予防するために必要なものは、何を置いても「ケアラー自身のケア」でした。

目次

  1. 当時の私の状況
  2. 何故乗り越えられた?
    1. 「まだ若かった(31)」から
    2. 「ケンカ」が相互理解につながったから
    3. 「夫婦二人だけ」だったから
  3. 共倒れのリスクはとても高い
  4. 4.終わりに

当時の私の状況

新婚早々に夫が出社できなくなり、うつ病診断⇒休職になりました。
その前に私は二十年慣れ親しんだ地元から、初めて他県に引っ越して、慣れない家事と格闘していた時期です。

更に夫の休職中に実母の病気が見つかって入院・手術。
ぐっちゃぐちゃでした。
一人で泣きながらカウンセラーの先生にメールした覚えもあります。

お金の不安もありました。その時はまだ大丈夫だったけど、これが五年十年続いたら自分達は生活していけるのか、と考えるとじっとしていられませんでした。
それでも、誰にも弱音を吐けませんでした。
当時はまだSNSはそれほど普及してなくて、せいぜいがブログ。
でも家族も見ているブログでは愚痴ることも出来ず。

恐らく限界ギリギリを、何とか保っていたのだと思います。
抱え込み過ぎたら共倒れになる、と言うことも知りませんでした。

何故乗り越えられた?

「まだ若かった(31)」から

今だったらどうかなぁ。うつサポ経験なしで夫50代、私40代で片方がうつになったら、かなり厳しいかもしれません。主に体力面で。
気力が充実していれば体力をカバーできるし、体力があれば気力不足をカバーできます
だから両方凹むとキツい。

「ケンカ」が相互理解につながったから

ただ、当時はケンカばかりしてました
結婚したと言っても一年少々の付き合いがあるだけで、お互いを熟知していたわけではなかった上に、私が常に言葉足らず。
夫は(当時は知らなかったけど)発達障害ですから、空気や表情から何かを読み取るなんて無理です。
行き違いの連続でした。

でもケンカすると、普段言葉足らずの私も我慢していた気持ちが噴出します。
最悪の表現方法ですが、これしか自分の本音の表示方法を知らなかった。
ただ、夫的には、黙って何も言わないより、怒鳴ってでも泣いてでも考えていることを言葉で伝えられるほうが理解しやすいらしいです。
当然夫もキレますが、それはそれで私も理解につながりました。

「夫婦二人だけ」だったから

今もそうですが、子どもや介護すべき他の家族もいなかったことは幸いでした。
大人二人ですから、メンタルギリギリでも共倒れしないでやってこれた気がします。
お子さんがいるご家庭の苦労は、想像するに余りあります。

共倒れのリスクはとても高い

私だけでなく、うつ病になった人のパートナーは

  • 自分がしっかりしなきゃ、支えなきゃ
  • 「ご主人奥さんが頑張らないといけないよ」と周囲に言われ続ける

ことで、自分のストレスや辛さを全部無視して後回しして毎日の生活をこなしていこうとします。
そうしなければ明日生活出来ないから。

しかし、うつ病はそう簡単に回復するものではありません
例えば仕事を休職したとしても、最長で一年六カ月。ただしうつ病がそこで治るわけではありません。
幸いにも復職できたとしても、うつ病との付き合いは続きます
そして我慢することでしか生活を支えられなかった伴侶に、限界、つまり共倒れが訪れます。
同じく抑うつ的になるか、他の症状や病気につながるかは人によって違うと思いますが。

私も仕事中に、突然胸痛に襲われたことが何度もありました。
今は全くないです。やはりストレスで体が悲鳴を上げてたんでしょうね。

≪こちらも読まれています!≫惠然庵コラム『うつ病と共倒れしないためには』

4.終わりに

相手が病気になると、「自分がしっかりして支えなきゃ」と考えるのは自然なことです。
ただし、期限がハッキリしない看病なら、自分のケアは絶対に忘れてはいけません

食べることも寝ること出来ず虚ろな目で蹲っているパートナーを見ると、自分だけ友達と遊びに行くなんて申し訳ない、と思うでしょう。
だから一緒になって隣で蹲ってしまう。
もしかしたら寄り添ってくれることで、うつ病の伴侶は安心するのかもしれない。
しかし長い目で見れば、負のサイクルの始まりです。

どこへ行くのか、何時ごろ帰ってくるのか、何かあればいつでも連絡して欲しいことを伝えた上で外出してリフレッシュするのは、何も悪いことではない、むしろみんなの生活を守るために絶対に必要なことなのです。

と、当時の自分に言ってあげたいと思います。

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