恋愛と自己肯定感
恋愛は楽しいですよね。
楽しいから夢中になる。そのためには何でもしたくなるし、生活のすべてが恋愛につながっているように見えると何もかもがキラキラして見える。
しかし、だからこそ、恋愛を自分自身の「穴埋め」に使わないように気を付けましょう。
1.恋愛しているときの心理状態
恋愛は、とても楽しい心理状態です。
ドキドキするのはアドレナリンが出て、じっとしていられなくなります。
女性なら女性ホルモンも分泌されるので、お肌がきれいになったり女性らしい体形がキープ出来たりします。
片想いや、例えば二次元のキャラクターや芸能人など「推し」相手でも同じような体験はできるでしょう。
さらに進んで相手からも愛されて恋人同士になれば、恋が叶ったことへの喜びだけでなく、「特別な存在として認められた」という体験によって自己肯定感が高まります。
好きな人に愛され続けるために、身だしなみや服装、おしゃれ、健康などに気を使います。
笑顔が増えるので周囲からの評価が高まり、仕事や勉強もはかどるでしょう。
休日には恋人と特別な時間を過ごす予定が入っていれば、そのためには嫌な仕事や行事も乗り越えられるかもしれません。
私は女性なので女性目線で書いていますが、こうした気分の盛り上がりには性差はないと思われます。
楽しくて変化や刺激に飛んだ生活に一変するため、そこに夢中になりがちです。
2.恋愛が自己肯定感を補完する?
以上のようにとてもハッピーな状態になれる恋愛は、他の人生上の要素と比べるととてもお手軽です。
例えば結婚、妊娠、出産となると、生活環境やお金の面、責任レベルが上がる(世帯主になったり親になったりしなければならない)ため、しっかり計画を立てて失敗の無いようことを進めます。
それに大抵は一生に一度だと思って取り組みますから、楽しい・ハッピーな気分だけを味わうことは出来ません。
それに対して恋愛は、とどのつまり気持ち一つの問題です。
好きになってしまえばそこで成立です。相手の性別も年齢も立場も関係ありません。
恋愛をしていれば、好きじゃない仕事をしていることや、どうしても気になってしまう欠点や、うまくいっていない人間関係に思考が支配される時間が減っていきます。
恋愛が無い状態で自分の頭を悩ませている問題から、気持ちの上では距離を取ることが出来るのです。
さらに、相手から愛されると、低かった自己評価を一気に逆転して高くできたような気分になってしまいます。
愛されている=自分への評価の見直し、が起きるのです。
それ自体は間違っているとは思いません。
しかし、恋愛状態が終わったり、楽しくなくなってくるとどうなるでしょうか。
「〇〇さんの恋人」という要素が、低い自己評価を補完していたのに、それが無くなってしまうのです。
疑似的に高まっていた自己評価が、それがなかった状態へ戻ってしまいます。
魔法が解けたおとぎ話の主人公のような感じでしょうか。
自己評価が高い状態、つまり自分で自分を「これでいい」と思える状態はとても心地いいです。
堂々とふるまえるため行動範囲も広がり、以前は出来なかったことが出来るようになります。
それが「もうできないのだ」と思ってしまう状態になるのですね。
3.恋愛が終わっても経験は消えない
恋愛関係が終了すると、上記のような自信喪失体験をするかもしれません。
気持ちが覚めたり、恋人関係を解消するにいたるまでの過程でネガティブな体験をしたかもしれません。
しかし、何もかもがゼロに戻るわけではありません。
- 誰かに愛されるだけの「何か」が自分にはある
- 欠点(だと思っている特徴)があっても、自分は人に愛される
- 自分以外の他人を強く愛することが出来た
- 恋愛関係でなければできなかった行動や感情を経験できた
という事実は確実に残ります。
恋愛しているときの、独特なテンションの上がり方ばかりを求めると、それほど好きでもない相手と交際したり、それによって不要に傷ついたり、重要なチャンスを逃したりするかもしれません。
特に女性の場合、男性以上に自己評価を下げる結果にもつながりかねません。
恋愛は、常にしていなければいけないものではありません。
「恋人が切れ目なく常にいる」状態が「モテ」=「人として上位にいる」と考える人もいますが、果たしてそうでしょうか。
恋愛の一種独特なメンタリティは、他の大事なものを全て押しのけて常に恋愛を最優先させようとする力があります。
それは前述したように、恋愛以外の重要な何かを逃してしまうリスクもあります。
自分の「穴」をふさぐための蓋として恋愛を利用するのは、やめておきましょう。