うつ病の人のペースを見守る

うつ病の人のペースを見守る
うつ病の人のペースを見守る

うつ病の人に、どんな声かけをしたらいいでしょうか。
「頑張れ」が禁物なのですから、ここは慎重に考えたほうがいい。
うつ病の人の心は、ヒビが入っているけどなんとか形を保っている薄いグラスのようなもの。
ちょっとした衝撃でバラバラになってしまいます。
この場合の「衝撃」とは、人からの言葉。
人とのコミュニケーションで疲れ果てた結果うつ病になってしまった場合は特にです。

ではどんなスタンスで声を掛ければいいでしょうか。
私からのご提案は、

『今は無理しないでいいよ。出来るようになったら、あなたのペースでやってみればいいよ』

です。

1.動けなかった人が少し動いた時の周囲の反応

うつ病は、脳と体のほとんどが活動を停止してしまうような病気です。
生きているのがやっとです。生きていく上で必要な食欲や睡眠も阻害されます。
だから急激に悪化している時期は、ほぼ寝たきりです。
仕事や学校なんてもっての外、布団から出ることすら大仕事です。

それでも、天候や体調や気分がいい時は、少し動いてみようか、という気になります。
ほんの少しです。お風呂入ってみたり、着替えてみたり、メールチェックしてみたり。

しかし、「まったく動かない」状態を、ハラハラしながら見守ってきていた家族にとっては、その些細な変化がとてつもなく大きく感じてしまい、一気に「もう大丈夫、もう元気になった」と勘違いしてしまうこともあります。
そして「元気になったね、じゃあ明日から会社(学校)に行けるね」と、励ましも込めて言ってしまう。

言われたうつ病の人はびっくりです。ほんの少し動いただけなのに。
そして期待の大きさと自分の状態のギャップに悩んでしまい、またお布団の中に逆戻りです。
更に、「次はちゃんと動けるようになってからじゃないと何も出来ない」と、ハードルを高くしてしまいます。

小さな変化はあくまで小さなものです。

2.周囲が心がけることは「とにかくじっと見守る」こと

受動的過ぎてがっかりされるかもしれませんが、実は一番難しくて一番ストレスが大きいのが「ただ待つだけ」という対応です。

周囲からすれば、

  • 以前ならもっと出来たのに、私ならもっと出来るのに、という「比較」との葛藤
  • もしかしたら今後ずっと永遠にこのままでは、という「不安」との葛藤
  • 私だって休みたいのに、疲れているのに、という「不満」との葛藤

を抱えて、ストレスが溜まっていきます。

なので、この時点でやるべきことは、「うつ病の人対策」ではなく、「自分の葛藤対策」です。
辛さの吐き出し方、気持ちの整理の仕方、自分の疲れをいやす方法、不満を満足させる方法。
セルフケア対策に取り組む時間です。

今後うつ病の人が回復傾向に入り、復職やリハビリを行うようになれば、自分対策を考える時間は取りづらくなります。

逆に言うと、うつ病の人がお布団に籠っている時がチャンスです。

3.待つほうが、結果として近道

うつ病の人は、一見何もしていない(=周囲が期待するような行動を何もしない)かもしれませんが、実は色々やっています。

じっくり時間をかけて、体と脳の損傷を修復

心の整理

振返り

「ちょっと試してみよう」とテスト施行

振返り

実行

最後の「実行」段階で、やっと周囲の目に「変化」「行動」として映ります。
その前段階で「もういい? まだ?」とツッコミを入れてしまうと、また一からやり直しになります。
逆戻ってしまった分、更に時間がかかります。

ですので、「うつ病の人のペース」を見守りながら、じっと待つことをお薦めします。


うつ病は、治療薬すら効き目が出始めるまで半月ほどかかります。
そして薬で治る病気ではありません。
長期戦ですから、慌てないことが大事です。
うつ病本人が結果を焦って慌てるケースも多いです。

時間がかかるものだということ、何かあれば必ず主治医かカウンセラーに相談するとを覚えておきましょう。

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