耳の痛い話は誰が言う?
「耳の痛い話」は、言うほうも言われるほうもあまり嬉しくありません。
言われる側は痛いし、言うほうも、言われる側の心情は容易に察することが出来るからでしょう。
それでも言わざるをえなかったり、「あなたから言って」と頼まれてしまう場合があります。
しかし、状況によっては、あなたから言うことでその後の展開が変わってきます。
言われる人の「何とかしたいという期待」と、言う人への「信頼度」によって。
1.「何とかしたい」という期待
耳の痛い話とは、現状が好ましくない時に現れます。
- もっと健康に気を使わなければいけない(けど、喫煙や暴飲暴食がやめられない)
- もっと仕事で結果を出さなければならない(けど、モチベーションが上がらない)
- もっと対人関係に気を配らなければいけない(けど、そんな余裕はない)
など。
分かっているけど出来ないことを、わざわざ他者から言われるのはしんどい。
しかし、この「分かっているけれど」がミソです。
何とかしたいという気持ちが、本人にあるのです。
下地は出来上がっています。
2.「言う人」への信頼度
誰にでも経験があると思いますが、「耳の痛い話」は、同じ内容でも言う人への信頼度によって説得力や納得感が違う、というケースです。
例えば「もっと仕事で結果を出さなければいけないけど、モチベーションが上がらない」とき。
職場の上司Aさんから言われても「ハイ分かりましたすみません」と返事して終わり。
けれどその人の性格や得手不得手、健康状態をよく分かっている家族から言われたらどうでしょうか。
「毎日仕事大変だよね。辛そうだけど大変?家ではのんびりしてね、話聞くだけなら出来るから、頑張ってね」とか。
よし頑張ろう!とエンジン全開になることはないですが、心への刺さり方が違います。
「しんどいけど、疲れてるけど、あまりやる気が起きない仕事だけど、でもこれで生活してるんだし、自分にしか出来ないことなんだからやるしかないか、家族も大変さ分かってくれてるしな」とか。
3.耳の痛い話を「誰が言うか」が重要
同じ言葉でも、誰から言われるかによって影響度は全く違ってきますよね。
そして影響の度合いは、言った人の地位や知名度などではなく、普段からの関わり方によって変わってくると、私は考えます。
なぜなら、とても有名な偉い人だけど普段全く関りが無い人から「あなたなら出来ると信じてます」と言われても、「?」です。
けれど、普段からダメな部分もいい部分も見せあって過ごしている家族や友人から「あなたなら出来る」と言われると、一考の価値あり、と思えます。
なので、「何を言うか」ではなく、普段から相手にとってどんな存在でいるのか、が重要なのです。
4.効きすぎに注意
薬と同じで、場合によっては「効きすぎる」ことがあります。
「〇〇さんが言ったのだから絶対だ」と、盲信してしまうケースです。
これを防ぐためにも、最終判断は本人に委ねましょう。
一から十まで全部おぜん立てして「指示」してしまうのは、励ましでも理解でもありません。「管理」です。
もし結果が上手くいかなかった時の全責任を負うわけではないなら、尚更最終判断は本人に委ねましょう。
耳の痛い話を「あなたから言って」と頼まれるのは、中々に気が重い仕事です。
しかし、それも周囲から見ると、頼まれた人は当事者にとって影響力があるから、信頼されているから、と目されているからかもしれません。
言い方や伝え方に苦慮したら、それは遠慮なく相談しましょう。
そして最終決断は本人に委ねることを伝えるのを忘れずに。
更に、最終的に本人が決めた内容にまで責任を取る必要もないので、それも忘れないようにしておきましょう。