おとなの発達障害
相談系のサイトや掲示板を見ると、社会人らしい人が「自分は発達障害かも」「発達障害の診断・治療はどうすればいいか」「夫・妻が発達障害かも」という書き込みがとても多いことに驚きました。
前職(ジョブコーチ)でも発達障害系の支援対象者は多かったですが、就労移行支援サービスを利用して、障害者手帳を取得し、企業の障害者雇用枠へ応募してくるところまでたどり着くおとなの発達障害の人は少ない気がします。ほとんどが20代でした。
今20代ということは、おそらく未成年のうちに発達障害の診断を受けたか、そういう知識を持った専門家が近くにいて医療につながった人達でしょう。
他の障害でも感じたことがありますが、当事者が幼少~成人前までにどんな時代を過ごしたかで、その後の人生が大きく変わります。障害を持っていない人だってそうなのですから、支援を必要とする人たちはなおさらですね。
最近とみに注目されている「発達障害」ですが、中々社会人への支援が行き届いていない気がします。これは「発達障害者の妻」としての感想です。
そして、精神障害全般にいえることですが、発達障害は周囲の理解が得られにくい。それもあって本人が障害とは考えず(無理に障害だと思う必要はもちろん無いのですが。スティグマの問題もありますし)、医療につながらない。結果、周囲が疲弊して、当事者は二次障害の発症の恐れが出てくる。
子どもの時に何らかの発達遅滞を親が気づいて専門機関へつながった場合の「就労支援」と、親から独立するくらいの年代になるまで専門的な支援を受けることなく過ごしてきた人とでは、支援の仕方がまるで違うのでは、と考えています。
発達障害者支援法、という法律があります。2005年に施行されました。この法律の条文を読んでいるとやっぱり「おとなの発達障害」が見過ごされているな、と感じます。
おとななのだから就労支援があればいい、と言うわけではありません。
長らく障害を抱えたまま(しかもそれに気づかず)生活してきた中で、周囲の理解や支援もなければ、ほとんどの人が二次障害的にうつ病等の他の精神障害も発症していることでしょう。それ故に仕事が長続きせず、転職を繰り返したり経済的にひっ迫している人も多いと思います。また、本人に自覚がないなら当然親も、まさか我が子が障害者とは思っていない上に「昭和の親父」達は、自分の子は厳しく育てれば「真っ当」になれると思っている人が多いですから、発達障害者特有の困難や特徴には注意を払いません。当然当人との関係性も上手くいっていないでしょう。ならば実家に頼ることも出来ない。結婚して新しい家族が出来ていれば別ですが、一人で理由も分からないまま生き辛さを抱えて苦しんでいる人がほとんどだと思います。中年以上の引きこもりや生活困窮者、場合によっては路上生活者の中に、未受診の「おとなの発達障害」がどれくらい含まれているのか、予想もつきません。
まだまだこれからの分野だとはわかっていますが、辛い人は「今」辛いんです。
じゃ、何が出来るんでしょうね?
そこが大事で、私の命題です。
ちなみにうちの夫は通院して「ストラテラ」を処方されていますが、服用すると途端に食欲も意欲も無くなります。たまに飲まないと注意欠陥がひどくなるので飲むように伝えていますが、常用すると本人がしんどそうです。
でも主治医は処方を変えてくれないそうです。なんでなんでしょう…?