ストレスサインを自覚したときがケアに取り組むタイミング

何が理由かはっきりわからなくても、上記のような特徴を自覚することで「自分はストレスを感じているらしい」と分かります。

しかし「そのうち良くなるだろう」「大した問題じゃない」「今はそれどころじゃないから」のような理由から、ケアに取り組まない方が多いです。

生活に影響が大きいところからケア

忙しくて「とてもじゃないけどメンタルケアしてる余裕などない」と、後回しにしてしまうお気持ちはわかります。しかし、役目と責任をたくさん背負った人に万が一のことが起きたら、それこそ影響は甚大なのです。

もし今自分がうつ病になったら?
考えたくない未来かもしれませんが、そうならないためにもストレスサインに気づいた今が、ケアのチャンスなのです。

とはいえ、一気に全部良くしよう!と言うのも無理があります。
今の生活に一番大きく影響が出ているところからケアするのが効率的です。

たとえば「入眠困難・過食気味・集中力低下」で悩んでいるとして、原因とは別に、この症状のせいで一番困っていることは何でしょうか。

『仕事中の集中力が下がったせいで、残業が増えてしまった。そのせいで趣味のゲームで気晴らしをする時間がなくなり、残業中にお菓子をたくさん食べて夕食替わりにしてしまっている。帰宅後妻が食事を作ってくれているので、申し訳ないから無理やり食べている。食べ過ぎのせいで胃がもたれてなかなか寝付けない』

としたら、今一番困っているのは「残業が増えた」ことかもしれません。

「自分がやるべき仕事だから」と抱え込み続けず、上司や同僚に相談しましょう。業務分担が間違っている可能性だってあります。毎日2時間やっていた残業を1時間に減らせるだけで、お菓子の量も減るし趣味を楽しむ時間も作れて、食事量も適量になり胃もたれも入眠困難も徐々に解消していくでしょう。

環境や季節でも変動する

季節的な要素も忘れないようにしましょう。季節性情動障害(SAD)という病名があります。

うつ病の一種で、秋または冬に抑うつが始まり、春や夏になると治まるという特有のサイクルを繰り返します。 このため「反復性冬季うつ病」と呼ばれることもあります。 SADにみられる症状の多くは、季節性ではない普通のうつ病と同じです。

Royal College of Psychiatrists

または春バテ秋バテなど、日本特有かもしれませんが「五月病」などもあります。自然の春夏秋冬だけでなく、カレンダーによる稼働状況によってもメンタルは左右されます。

この場合、過去の自分の行動ケアのヒントになります。
今までも同じように同じくらいの季節にしんどくなったときどうやって乗り越えたかどんな経過をたどったか、反省したことはなんだったか、を思い出しましょう。ずっとブログやSNSを続けている方は、過去投稿を振り返るのもいいかもしれません。

ストレスの原因は複数あることが多い

そしてストレスの原因は一つではありません

仕事で集中力が落ちてしまった場合、まず真っ先に仕事内容や会社の人間関係、ノルマ、過労を疑うかもしれません。そこに問題があったとしても、それだけでは解消しないかもしれない。色々振り返ってみたら、住んでいるマンションが長期の工事をしていて騒音が気になるとか、仲のいい友人が多忙になって会えなくなったとか、一見関係ないことも折り重なっていることがあります。

近視眼にならず、多角的に自分と周辺環境を観察してみましょう。


Aさん

なるほど、自分だけが悪いんだと思ってましたが、そうじゃないんですね。

カウンセラー

そうですね。自分一人で変えられるものばかりではありませんし、仕方なく引き受けている場所や責任もあります。
環境や育ってきた歴史もとても重要なのです。

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