セルフコンパッションで
ネガティブ感情を
置き換える
2つ目は「セルフコンパッション」です。あまり聞き慣れない方もいると思います。
セルフコンパッションとは、自分自身に対する優しさ・思いやりのことです。
例えば大事な家族、パートナー、友人を労わるように自分に優しくし、辛い気持ちに寄り添い、傷が癒えるのを見守る作業です。
自分自身を受け入れ、理解し、自分の弱点や失敗に対して批判や非難を向けません。
どんなネガティブ感情であれ、そう感じてしまわざるを得なかった、自分にしか分からない事情や理由があるはずです。
その状況にある自分に理解を示し、苦しんでいる状態を認めてあげましょう。
事例を使ってみていきましょう
最近落ち込み傾向にある家族から「もっとこうしてほしい」と生活上の要望を伝えられました。
その時、あなた自身も仕事で疲れていて、咄嗟に「それは無理」と拒絶してしまいました。
拒絶された家族はそれ以上反発することなく自室にこもってしまいました。
あなたは後になってから「もっとちゃんと理由や詳細を聞けばよかった。感情的になって恥ずかしい。普段は私のほうから『して欲しいことがあれば相談してね』って言っているのに、逆のことをしてしまった…」
と考え、恥ずかしさと後悔が強まり、謝るよりも「無かったことにしたい」思いが勝ってしまっています。
①この日の自分の1日を振り返る
相手の状況や心情を理解していると思っていたはずなのに、すぐに受け容れる心構えに切り替えることが出来ず、咄嗟に「無理」と拒絶してしまいました。
そのことに強く後悔し、自分を恥ずかしいと思っています。
この出来事があった自分の1日を細かく振返ってみましょう。
- 朝出勤⇒今日一緒に顧客先を訪問するはずだった上司が体調不良で休むことになった、と連絡をうけた
- どうしても今日行かざるを得ない状況 ⇒ 一人で準備をして訪問
- なんとか打合せを終えて帰社することが出来た
- その後:訪問準備で後回しにしていた仕事が山積 ⇒ 休憩なしで仕事に取り組む
- 残業したかったが、自分の家族も最近体調を崩しているので、定時退社を目指す
- 休憩も取らずに仕事をこなして帰宅 ⇒ 疲労困憊、家族も心配
- 家族から「もっとこうしてほしい」と生活上の要望を伝えられた
- 咄嗟に「それは無理」と拒絶してしまった
- 後悔・反省
②自分の1日をセルフコンパッションで振り返る
この1日を過ごした人が「家族」「パートナー」「親友」だったら、と仮定して、理解・無批判の姿勢で振り返りましょう
➊朝出勤⇒上司が体調不良で休むことになった、と連絡をうけた | 急な予定変更で慌てたんだ |
➋どうしても今日行かざるを得ない状況 ⇒ 一人で準備をして訪問 | 二人分の仕事をこなしていた |
➌なんとか打合せを終えて帰社することが出来た | テンパったけど無事こなせた!すごい! |
➍その後:後回しにしていた仕事が山積 ⇒ 休憩なしで仕事に取り組む | 休憩なしなんて疲れて当然 |
➎残業したかったが、自分の家族も最近体調 ⇒ 定時退社を目指す | 自分に出来る精いっぱいを目指した |
➏休憩も取らずに仕事をこなして帰宅 ⇒ 疲労困憊、家族も心配 | 今度は家族のことまで心配してる |
➐家族から「もっとこうしてほしい」と生活上の要望を伝えられた | 「もっと頑張れ」と要求された気がした |
➑咄嗟に「それは無理」と拒絶してしまった | 相手が家族だから気が緩んで本音が出た |
➒後悔・反省 | 納得、辛さの軽減 |
③セルフコンパッションの視点で自分に対して労りの言葉をかける
セルフコンパッションで自分の1日を振り返った結果、自分にどんな言葉をかけてあげますか?
今日は一日本当にお疲れ様!めちゃくちゃ頑張ったね!
もう今日は何もしなくていいよ。上司の分まで一人で頑張ったんだよ、頑張り過ぎなくらいだよ。
家族とのことは明日の朝また話そう。
タイミングが悪かっただけなんだから。
明日ちゃんと話し合えるようになるために、今日はご飯食べてお風呂でゆっくりしてたくさん寝て体休めてね。
本当にお疲れ様!
④セルフコンパッションでネガティブ感情への習慣を変える
思い出したくもない嫌な過去は、大抵はネガティブな感情とセットです。
ネガティブな感情自体が辛いのに、それによって更に自分に追い打ちをかけてしまうような習慣が、私たちにはあります。
それは何の解決にもなりません。過去の出来事への拒否感がどんどん強くなり、反比例して自分への自信が減っていくばかりです。
自分を労わり、優しく接して、ネガティブ感情を拒否せず受け入れることで、過去の出来事に対して中立的な立場を取れるようにすると、「この後どうすればいいか」を考える余裕が生まれるのです。
分かりやすく動画でご説明します。
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