【うつサポ体験談③】夫、転院する
さて、件のメンタルクリニックには1年ほど通院しました。
その間、夫は半年間休職→復職しましたが、中々安定しませんでした。
いわゆる「リワーク(復職)プログラム」とは、本人の復帰意欲と、主治医の判断を元に、職場の責任者が復帰後の段階的な復職ステップを相談します。
ただ、18年前にはそんな概念ありませんでした。あったのかもしれませんが夫も私も、主治医も職場の上司も知りませんでした。
「6カ月たったから」ということで、半強制的に復職しました。
休職前の職場(出張や客先訪問が多い)ではなく、社内で完結する部署への異動も、あわせて行われました。
しかし、本人はまだ万全とは言えない状態だったうえに、段階的もへったくれもない復帰でした。
今でも、復帰初日の疲れ切って帰ってきた夫の顔をおぼえています(笑)
この6カ月でため込んだ元気を全部使い果たして帰ってきました。
もう食事をするどころではないです。食卓に座り込んで動けなくなってました。
それでも次の日ちゃんと出勤しました。今思うとすごい気力と、無理をさせ過ぎたと後悔しています。
うつ病の人の「大丈夫」「頑張る」は、言わせてはいけないし信じちゃいけないですね。
復職すれば当然体力も使う、今までの病院は通院も待ち時間もかかりすぎるため、また、中々改善しない主治医の先生との関係性もあり、もっと近くに無いか、と自分達で病院を探して転院しました。
最寄り駅から3分、自宅から歩いていける距離です。
さらに、どんなフローになっているのか分かりませんが、待ち時間ゼロでした(笑)
待合室で他の患者さんと遭遇することも稀です。診察券を出すとすぐ呼ばれます。私も同席可でした。
快活そうな男性のお医者さん。主人の話(職場環境、休職→復職してからののこと、前の先生とのお話)などを、ふんふん言いながら聞いてくれました。
そして衝撃の一言。
『転職? 全然オッケーでしょ。だって職場が原因で鬱になったんでしょ? 原因が職場なのに、そこに戻って行ったらまた悪くなるの当たり前です。辞めていいんです、そんな職場は』
まじかー!と思ったのを今でも覚えています。
しかし先生の理論は明快で、今でも「そうですよね!」と言いたいくらいです。
(ちなみに「元の職場に復帰することがうつ病完治と言える」という言説の根拠を後日知り、愕然としました)
急に元気になった夫(笑) 私もですが。
なんだかんだあり、復帰から1年したあたりで退職を決意しました。
同じころ、自宅周辺が改築工事ラッシュで騒音が半端なく、うつ病の人が生活する環境じゃないし、私だけが収入源なのでそれに見合った場所に引っ越そう、となったため、転居もしました。
それから薬について。
その時服用していた薬を持って行ったら、
『これとこれは同じ効き目だから重複しなくていい。そしたらコレも要らない』
と整理してくださり、結果三分の一くらいに減りました。これもびっくり。
転居についても上記の先生に相談したところ『全然オッケー』と言われました(笑)
今でも感謝しています。
主人は、転居する前のことをほとんど覚えていないそうです。
その後、合計3回転居しましたが、引っ越すたびに夫の状態が安定していきました。
転居先が他県だったため、その先生とのお付き合いは半年くらいでしたが、夫もその先生のことは信頼していました。
今でもお元気かな。若い先生だったし、きっと活躍されているでしょう。
≪教訓≫
- 復職は慎重に。うつ病に理解がない職場なら戻らないほうがいいかもしれない。
- 本人の言う「頑張る」「大丈夫」は鵜呑みにしないほうがいい。
- 何が苦痛か、うつの原因かによって、環境の変化は吉とも凶とも出る。一般的なセオリーより「自分は・家族はどうなのか?」が大事。
- 転院しないまでも、主治医の方針に疑問を感じたら『セカンドオピニオン』もあり(うちはしなかったけど)。
とてもリアルな内容が掲載されて驚きました。
メンタル治療を受ける場合の内容が詳しく記載されており感銘を受けました。現実の厳しさを知ることができて同じような場面に遭遇した時の手引書になります。
先生ありがとうございました。
なもないはなこ様
コメントありがとうございます。
経験がある方それぞれに貴重な気付きや体験があると思います。
うちの場合はこんな感じでした(笑)
自分と相性のいい先生を探すのは、とても大変ですが大事なことだと思いました。