利己主義で自分らしく幸せになる
利己主義、というと、自分勝手で周囲を顧みない考え方、というイメージがあります。
しかしそれと反対に利他主義が必要以上に重視されているようにも感じます。
人はまずは自分ありきで考えなければいずれ心の健康を損ないます。
幸せになるための利己主義とは、どんなものでしょうか。
1.利己主義を目指したほうがいい人とは
利己も利他も、バランスの問題だと思います。
利己の要素が少なすぎる人が、利他に偏り過ぎてメンタルヘルスを害してしまいます。
- 自分のことを常に後回しにしてしまう
- 自分は他人より劣っている、下だ、価値がないと思っている
- 謙遜は美徳、と思い込み過ぎて卑屈になっている
- 誰にどんなに褒められても自分に自信が持てない
こうした人たちは、自分でもこの状況が良いとは思っていません。
しかし不安を払拭したり自信を持とうとするための対策が、より利他要素を強める事ばかりだったりします。
2.利己の定義
では、幸せになるための利己とは、どんなものでしょうか。
【利】=「己」の自分にとって
- 有益なこと
- メリットになること
- 役に立つこと
【己】=自分とは何か
- 自分が出来ること
- 自分が好きなこと
- 心地よいと感じるもの、環境
- 得意なこと
- どんな人間でありたいか
です。
つまり利己とは、「自分が好きでいられる・こうありたいと思える自分になるために役に立つ考えや感情を重視する」ことです。
ですので、「己」をどのように定義するか、をじっくり考える必要があります。
ここで「己」ではなく「我」を全面に出せば、それは結局は周囲に受け入れてもらえませんので、貫くことは出来ず、周囲との衝突を繰り返すことになります。
しかし、自分が心の底から「こうありたい」と思う姿に、周囲から反発され、嫌われ、考えを否定され続けることが含まれていることはまれでしょう。
人が真に「こういう人間として生きたい」と考えつくしたものは、周囲の幸福と矛盾するものにはならないのです。
3.自分を苦しめる「利他」
利他とは、「自分を犠牲にしても他人の利益・幸福を考えて行動するやり方」です。
とても尊い考え方ですが、自分のことを何もかも犠牲して常に周囲の利益ばかりを優先して生きていれば、欲求不満を感じるのは当然です。
以下のような「利他」は、自分を苦しめる結果につながるリスクがあります。
- 他人のためではなく、自分を引っ込めた結果としての利他
- 一見善行で周囲にとっては都合がいいから、とがめられない
- 目的があってやっている利他ではないから、続けるうちにストレスになる
周囲に嫌われないため、怒られないため、価値がない自分(と思い込んでいる)が居場所を得るために仕方なく利他にならざるを得ない、という利他主義は、利己主義を取り入れてやり方を変える必要があるのです。
4.幸せになるための利己のポイント5つ
作り上げた自分だけの利己を運用するときは、以下のポイントに注意しましょう。
- 自分がどんな人として生きたいか、を明確にする ⇒ 軸、方向性、指針、ポリシー
- 自分の軸を行動や選択、発言の基準にする
- 「ねばならない」「普通は~だ」に対しては、軸と照らし合わせてYES/NOを考える
- 他者の利己を侵害しない
- 軸に沿って行ったことの結果を後悔しない
自分の軸に沿って価値ある人生を生きるための利己は、エゴイズムとは違います。
本当に自分らしく生きることは、他者の利己を邪魔したり、周囲の迷惑になることはありません。
ずっと犠牲にし続けた自分の意思を尊重するための手段なのです。
5.まとめ:幸せになるための利己主義とは
一番大事なのは、「どんな人として生きたいか」という自分の軸をどんなふうに作り上げるか、です。
とても難しい作業です。簡単には出来ません。パッと思いつくことは「己」ではなく「我」に偏ったり、世間的に歓迎されやすい考えの盛り合わせに過ぎなかったりします。
かといって一から作らなければいけないこともありません。
普段から感じている自分の「~したい」をかき集めることで、ぼんやりとでも形が見えてきます。
それを下地に少しずつ彫り込んでいくことで、自分軸が見えてきます。
その結果が「利他」なものだったとしたら、それはなし崩しの結果としての利他ではなく、自ら選んだ目的ですから、葛藤やストレスは生みません。
世間や社会、他人を知っている大人だからこそ生み出せる利己だから、幸せになるための役に立てるのではないでしょうか。