流されやすい自分を変えたい! -自己決定理論とは-

流されやすい自分を変えたい! -自己決定理論とは-

「本当はこうしたい」「でも言えない」「周りの空気を読んでしまう」
そんなふうに、自分の気持ちを引っ込めてしまうこと、ありませんか?
協調性は大切。でも、そのたびにモヤモヤがたまっていくようなら、自分の“心の声”にもっと耳を傾けてあげてもいいかもしれません。
今回は、流されやすい自分を少しずつ変えていくために役立つ「自己決定理論」という心理学の考え方をご紹介します。
今日から始められるワークもありますので、ぜひご自身のペースで読み進めてみてください。

目次

  1. 流されやすいってダメなことなの?
  2. 流されやすい自分を変える「自己決定理論」
  3. 流されやすい自分を変える -今日から出来る3つのワーク-
  4. 自己決定理論が身に着くとどうなる? メリット3つ
  5. まとめ
  6.  家族のことでいっぱいになった心に“わたし”を取り戻す時間を

流されやすいってダメなことなの?

①例えばこんな経験、ありませんか?

■会社の同僚に「ランチ、どこでもいいよ」
→本当は行きたい店・食べたいものがあるけど、否定的な反応が出たり、皆の和を乱したくないから言えない。

■会議などで「皆がそういうなら…」と合せてしまう
→議題に対して自分なりの意見がある。だけど突っ込まれたり否定されたら恥ずかしいし、皆が賛成しているならその意見のほうが正しいんだろう、と思って引っ込める。

■「本当は子どもに習い事はさせたくなかった」
→知り合いの家庭がどこも英会話を習わせている、と聞いて、「うちだけやってない…」という状況に焦って、子どもの意思を考えずやらせてしまった。

■うつ家族ケアで「頑張ってるね」と言われる
→「いい奥さんだね」「家族思いだね」と褒められると、それが善意だと分かっているから「本当はつらい」という本心が言えない。

②ダメなことというよりも、自分のデメリットが大きすぎる

これって「ダメなこと」なのでしょうか。
難しいですね。どのケースにも共通しているのが「相手の反応や気持ちを読み取って引っ込めている」という点です。
それは他者の意見を尊重している、協調性を優先して物事をスムーズに進めることが出来ている、とも言えます。それがメリットです。
メリットがあるなら完全に「ダメ」なこと、とも言い難いです。だからついやってしまうんですよね。

しかしこの対応に疑問を抱いているから、この記事を読んでくださっているのではないでしょうか。
その「疑問」「疑問に思う気持ち」が手掛かりです。
上記の事例にあるように

  • 言いたいことがあるけど、言えない
  • 恥ずかしい思いをしたくないから、自分の意見を出さない
  • 不安に駆られて他の人と同じことをしてしまって後悔した
  • 基本褒め言葉だから、それを否定するような本心を言えない

という、ストレスに繋がってしまっていますよね。
これが「流されやすい」ことのデメリットです。

流されやすい自分を変える「自己決定理論」

①自己決定理論とは

周りの意見や風潮に流されやすいことのデメリットが分かったところで、ではどうすればそれを改善できるでしょうか。
その方法の一つが「自己決定理論」です。

自己決定理論(Self-DeterminationTheory)とは、人が自分らしく、持続的に意欲をもって行動するには、3つの心理的欲求(自律性・有能感・関係性)が満たされている必要があるという心理学理論です。

人の意見や場の空気に流されやすいのは、自分の欲求に沿ってどういう行動を選択することが最適か、を、自分で決められないため、という理由が考えられます。
この「自分で決める」ことがスムーズに出来るようになると、状況に応じて流されず自分の意思を確認・決定して行動出来るようになるため、「流された」と感じた時の葛藤から解放されます。

②自律性

自分の意思で行動している、という感覚のことです。
誰かにやらされている、合わさせられている、と感じることがストレスなのは「自分の意思」が選択や行動に含まれないからです。
自分の気持ちが仲間外れにされちゃってるんですよね。辛く感じないはずがありません。
誰かの期待に応えることが必要な場面であっても、自分の価値観や意思と一致した選択・行動であれば、それは「自律性がある」と言えるでしょう。

③有能感

自分自身が「出来る」「上達している」と実感できる感覚のことです。
何か課題をやり遂げたり、問題を解決したり、挑戦を乗り越えたりすることで育まれます。
つまり「成功体験」ですね。
自分自身が「出来た!」と感じることも重要ですが、他者からのフィードバック(感想、コメントなど)によって「私、ちゃんと出来たんだ」と評価することも出来ます。
この有能感が育ってくると、「こんなことを言ったら笑われるかも」と思って意見を引っ込めたり、「他の人がやってるなら私もやらなきゃ」と他者に同調しすぎることも無くなります。

④関係性

他者と繋がっている、自分は受け入れてもらっている、と感じられる感覚のことです。
この繋がりとは、数より質が大事です。
例えばアプリの連絡先に1,000人分の登録があっても、現在進行形で連絡を取り合えていない人がいたら「繋がっている感」は薄いでしょう。
そして「自分の意見や考えを受け入れてくれる人がいる」と思えることで、他者に流されることなく自分の意見を臆せず表明出来るようになります。

流されやすい自分をやめるための自己決定理論の図

流されやすい自分を変える -今日から出来る3つのワーク-

なんとなくわかったけど、どれから手をつけたらいいか分からない、って思われたのではないでしょうか。
そんな方のために、今日から出来る3つのワークをご用意しました。

①自律性

自律性とは「自分の意思で行動している」と実感できることです。
ということは、まずは「自分の意思」を自分で自覚することから始めましょう。
そのために活用出来るのが、「選択」です。
研究によっては、人は1日に3万回以上の選択をしているとも言われています(アイエンガー)。
それこそ朝目覚ましが鳴った瞬間から、すぐ起きるか、あと1分寝るか、を選んでいます。
毎日無数に行う選択場面で

  • 私は今、どんな気分だから○○しようとしている?
  • 私は本当はAとBのどっちを選びたい?」
  • 他人の意見を聞いたうえで、私はどう思う?

を自問することで練習してみましょう。

②有能感

有能感は「私は出来る!」という感覚ですよね。
これは、1日の終わりにつける日記を活用しましょう。
「出来たこと日記」を、箇条書きで良いので書き続けます。
「私には何も出来ない」「私は無力だ」と思い込んでいる人は、自分が出来たことを「出来た」と評価していなかったり、忘れているだけのことが多いです。
それを思い出し、再評価することが必要です。

  • 遅刻せずスムーズに会社に到着した
  • 自分から挨拶出来た
  • 必要な物を買って帰れた

当たり前じゃん…なんて流さないでください。これらが出来るからこそ、毎日が順調に回っているのです。これって本当にすごいことなんですよ。

③関係性

関係性は「他者と繋がって受け入れられている感覚」でしたね。
そしてそれは「数」ではなく内容が大事ともお伝えしました。
まず、今自分が「繋がれて受け入れてくれている」と思える人を思い浮かべてみましょう。
思い当たる人がいたら、その人に1日1回は「ありがとう」を伝えるように意識してみてください。
特別な何かを探す必要はありません。
「気遣ってくれてありがとう」「声かけてくれてありがとう」「一緒にいてくれてありがとう」などは如何でしょうか。

そして「ありがとう」に慣れてきたら、もう一歩踏み込んで自分の気持ちを一つ伝えてみることをお勧めします。

  • 「今日はちょっといつもより疲れたかな」
  • 「あの時緊張してたんだよね、実は」

こうした小さな自己開示は、聞いてもらえた嬉しさもあるし、言えたことで自信もつきます。更に相手にとっては「打ち明けてくれた」という喜びにもなって、更にお互いの信頼関係を高めることが出来ます。つまり「関係性が強化される」ことになるのです。

自己決定理論が身に着くとどうなる? メリット3つ

①他人に振り回されなくなる

まず、自律性が高まることは、「他人に流されなくなる」ことに直結します。
自分の意思を自分で自覚出来ているので、たとえ心の中だけでも「私はこう思う」が明確になります。
この習慣が身につくと、何かを選択するときに「自分が選びたいもの」を選べる頻度が高まります。もし誰かと同じものを選ぶとしても、そこにしっかり自分の意思があります。それは選択に対する納得感です。
自分の選択に納得が出来ると、自分への自信が育ちます。

②成長速度が上がる

そして有能感、「自分は出来る」感覚をつかむことで、「これならできる!」という自己効力感を高めることが出来ます。
以前は「無理かも…」と思っていたことに対して「少しずつだけど出来てる」と思えるようになります。特に完璧主義が強すぎて前に出られなかったような方は、「完璧じゃないけど確実に前に進んでいる」という実感は大きな変化ではないでしょうか。
自己効力感が高まると、失敗しても「次はどうやればうまくいくか」を考えるようになり、失敗が怖いから挑戦しない、という状況が減っていきます。

挑戦する、上手くいかなかったことを振り返る、また挑戦する、という成長サイクルを回せるようになります。
このような挑戦の繰り返しによって、「成功したかどうか」よりも「学べたかどうか」に意識が向くようになります。これが継続的な成長の鍵です。

③一人でいることが不安ではなくなる

自分にとってストレスにならない「程よい関係性」を保てることは、「相手に流されない」ためには必須です。流されてしまう時は関係が不安定な時が多いです。合わせないと嫌われる、評価が下がる、不機嫌にさせてしまう、のように。
程よい距離を保てると「相手の言い分もOK、自分の考えもOK」という「アサーティブなコミュニケーション」を取ることができます。どちらも否定しないことで、自分を理解してもらえることが増え、相手を尊重することもできます。
そして誰かと繋がれている・受け入れられている、と信じられることは、一人になることが怖くなくなります。
ひとりで決めて行動できる力は、心の安定を支える大きな土台になります。

流されやすい自分を変える「自己決定理論」の3つの欲求とそのメリット

まとめ

人の意見に合わせたり、場の雰囲気を読んで行動することは、決して悪いことではありません。けれど、それが続くうちに「自分が本当はどうしたいのか分からない」「気づいたら他人の人生を歩いていた」…そんな感覚に陥ることもあるかもしれません。

自己決定理論は、自分の中の「自律性」「有能感」「関係性」という3つの欲求を育てることで、「自分で選び、納得して生きる」力を育む理論です。
今日から始められる小さな選択・行動の積み重ねが、自分らしい人生をつくっていく大きな一歩になります。

「誰かに合わせる」から「自分の意思で選ぶ」へ。
その切り替えは、ほんの少しの意識と練習から始めることができます。
流されやすさに悩んでいるあなたの優しさを、自己理解と自己決定の力へとつなげていきましょう。

家族のことでいっぱいになった心に
“わたし”を取り戻す時間を

家族のことで頭がいっぱい。自分のことはいつも後回し。
「私が支えなきゃ」と思うけど、心がついていかない。
誰かに頼るのは苦手。だけどもう、限界かもしれない。

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