共感の効果と質問のコツ
– 辛い時に共感されると、人間関係はどう変わる? –
メンタル落ちてるとき、悩んでいるときに、誰かから共感してもらえるとそれだけで気持ちが軽くなったり「何とかなるかもしれない」と前向きに考えられた、という経験は誰でもあると思います。
共感とは、受容と理解と愛情が生む関わり方です。
では、大事な人が辛い時の共感の効果とは、何でしょうか。
1.辛い時に共感してもらえるとどうなる?
嬉しいのはもちろんですが、それによって自分と相手の関係はその先どう変化していくでしょうか。
①信頼感がアップする
大人は辛い気持ちを子供ほど大っぴらにしません。辛い気持ちに気づいてくれた、ということは、その人を普段からよく見ている、ということ。
仕草、行動、言葉遣い、表情。
そうした「非言語情報」にはつらい気持ちがにじみ出てしまうものです。
それを繊細にキャッチしてくれた人に対して、信頼感が増すのは当然の流れと言えるでしょう。
②繋がりが強くなる
辛い気持ちに共感する、というのは、働きかける側からしても労力が必要です。
その手間を惜しまずに関わり合った者同士の関係性はより強いものになっていきます。
結婚式の「病めるときも健やかなるときも」とは、夫婦に限ったものではありませんね。
③共感された側のメンタル安定、ストレス軽減
冒頭でもお話した通り、自分がネガティブな状態にある時に誰かが寄り添ってくれるだけで、不思議と気持ちが落ち着きます。早かった脈が落ち着いて、胃の痛みが治まって、ゆっくり呼吸が出来るようになります。
心の触れ合いによってもオキシトシンが分泌されるのでしょうか。実際に肩を抱いてもらったり手を握ってもらえれば効果はさらに高くなります。
「自分は孤独ではない」と実感できるのです。
④返報性の法則でお互いの自己効力感が高まる
返報性の法則とは、「人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱くが、こうした心理(wikipedia)」のことです。
辛い時に寄り添ってくれた○○さんが、今度は困っている。だったら私が手伝ってあげなきゃ、と思える。
そして実行出来た時に、その人の自己効力感(自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること)が高まります。
2.どうすると共感の効果が発揮できるか
このような効果があるなら、親しい人、更に大事な人が辛い思いをしていたら共感して何かしたいと思います。
ではどんなやり方があるでしょうか。
①じっくりひたすら話を聞く
当たり前かもしれませんが、これがなかなか難しい。
何故なら大人は誰でもそれなりの経験を積んで知見と知識を持っているからです。
話を聞いて状況を把握したら「自分だったらこうするのにな」というアイデアが自然と思い浮かびます。
そして相手のためにそれを言ってしまう。話がまだ終わってないのに。
辛い状態にある本人は順序だてて話をする余裕なんてありません。まだ本当に言いたいことを言ってないのに「それは…」と口を挟まれれば、相手への信頼や感謝よりも、理解されない無力感が襲ってきます。
②非言語情報を見逃さない
非言語情報とは、顔の表情、声の大小やトーン、目線の動き、体の動き、服装、顔色、などです。
言葉以外で色んな情報を発してくれているはずです。
辛い、と言っても内容は多種多様です。
悲しい、苦しい、腹立たしい、無念、不安、恐怖、寂しい、など。
どんな「辛さ」を抱えているのか、を、非言語情報から想像しましょう。
当たって無くてもいいんです。「理解しようとしてくれている」と相手に伝わることが大事なのです。
③相槌や同意の言葉を使う
話を聞くと言っても無反応で前に立っているだけでは、マイクに向かってしゃべっているようで話す側には何の作用も起こりません。
自分とは違う別人格の人に向かって全身で辛さを伝えている、という双方向の作用こそが、共感の醍醐味です。
聞いている側が「うんうん」と頷いたり「そんなことがあったんだね」「分かるよ」と半のしてくれることが必要なのです。
④質問をする
自分の感情は、言葉にすることが難しいです。
しんどい、辛い、だるい、やばい、のように大雑把に括った言葉では表現しきれません。
そして自分の感情にピッタリ当てはまる言葉で表現できると、それだけで問題の半分は解決します。何故ならこれからどうすればいいか、という方策や方向性に気づけるからです。
自分一人で言語化に努めることも出来ますが、誰かが様々な質問を投げてくれて、それに答えることで言語化すると、方向性に気づけるだけでなく協力者も一緒に得られ、孤独感が消え、メンタルのエネルギーが戻ってきます。
3.共感の効果を高める質問方法
では、特に「質問する」方法について具体的に考えてみましょう。
①オープンクエスチョンで紐解く
オープンクエスチョンとは文字通り「開かれた質問」です。
YES/NOや選択肢提示ではなく、相手に自由回答をしてもらう問いです。
「すごく疲れてるように見えるよ。どうしたの?」
と聞くのがオープンクエスチョン。逆に
「すごく疲れて見えるよ。昨日何時に寝た?」
と聞くのがクローズドクエスチョンです。これは「疲れているのは寝不足のせいだ」という根拠を持っていることで出てくる質問です。
思い込みせず相手を理解するためには、オープンクエスチョンが有効です。
②感情に焦点を当てる
問題解決や事情聴取には事実・FACTが重要ですが、共感は「共に感じる」事が目的ですから、気持ちに焦点を当てて質問をしましょう。
「○○部長から何か言われたんだね。その時どう思った?」
みたいな感じですね。そして相手から「努力が認めてもらえなくて悲しかった」と返ってきたら、今度は「悲しみ」にフォーカスして質問しましょう。
③共感を示す言葉を使う
つい元気づけたくて、相手に自信を取り戻してほしくて「そんなこと気にしなくていいのに」って言いたくなりますよね。
でもそれを言うのはタイミングが大事です。相手が辛さに飲まれている時にはNGワードです。
共感を示すには、自分の過去の経験が活用出来ます。
「それは辛いね。もしそこに私がいたら、どんなサポートが出来たかな」
とか
「よくわかるよ。私も似たこと言われたよ。3日くらい部長の顔見られなかったな」
とか。
人は、仲間には心を開きます。自分と同じ経験があった人には情けない姿も見せられます。情けない姿を他者に見せた、という行動自体が、その人のメンタルを向上させます。
④相手の疲労度に合わせて、共感の効果を守る
質問に答えるのは、寄り添ってもらえていると分かっていてもエネルギーを消耗します。
長々と話し続けると、共感してもらっているという喜びよりも疲労のほうが強まってしまい、違うストレスを双方が抱えるようになってしまいます。
疲れてくると本意ではない言葉も出てきてしまうでしょう。
適切なタイミングで終了しましょう。
4.共感の効果は相手軸が大事
ポジティブマインドはとても大事ですし役に立ちますが、常にいつでもどこでもポジティブでい続けることなんて無理ですし不自然です。
目の前のその人は、今たまたまポジティブになれていないだけです。タイミングが来ればポジティブになりますから、焦って方向性を変えようとする必要はありません。
また、アドバイスも、相手がそれを受け容れる下地が出来た時のほうが有効です。しんどさMAXの時に「ああしろこうしろ」と言われても右から左です。
共感するときは相手軸になりましょう。
“共感の効果と質問のコツ” に対して5件のコメントがあります。