自律神経 Q&A
「自律神経とは」「自律神経を守る毎日の過ごし方」「自律神経と認知について」などについて考察してきました。
本日は締めとして、Q&Aをまとめました。
コラムの内容と重複する部分もありますが、参考にしていただけると幸いです。
自律神経が乱れる原因はなんでしょうか?
自律神経とは、「交感神経」と「副交感神経」の二つがあります。この二つは交互に作用することで、人間の生活リズムを保っています。
日中活動出来るのは交感神経の働きによるもので、夜リラックスして眠りにつけるのは副交感神経の役割です。
そして人間のリズムは体内時計(概日リズム)に従って動いています。
この体内時計がくるってしまうと、交感神経と副交感神経がバランスよく働いてくれなくなり、「自律神経の乱れ」となって体調に変化を及ぼします。
自律神経の乱れを放っておくとどうなりますか?
自律神経の働きは、血流を促し、体温を調整し、集中力を増したり、逆にリラックスして休息を取れるようにして健康とメンタルを支えています。
ですから、自律神経が乱れることで、血流が悪くなり、体の隅々まで必要な栄養や酸素が行き渡らなくなります。
手足が冷えたり、免疫力が下がったり、日中集中して仕事に取り組めなくなったり、夜眠れなくなったりします。
結果として頭痛、肩こり、眩暈、胃腸の不調、倦怠感の増加、不安、イライラなどが続くようになり、最悪の場合は心疾患や脳血管疾患、うつ病などへつながります。
交感神経と副交感神経の違いはなんですか?
まず交感神経は、活動量をアップします。交感神経が活発になることでアドレナリンやノルアドレナリンの分泌が促されるので、集中力が増してトラブルに対して能動的に対処しようという気持ちが沸いてきます。体内では「顆粒球」が増えて、細菌や病原体が体内に侵入してきても排除して、感染症から体を守ります。しかし過剰になると怒りや嫉妬、イライラ感が高まり、パニックになったり夜眠れなくなったりします。
副交感神経は休息をつかさどります。気持ちがゆったりとして、体も休息状態に入ります。血管が広がって体の隅々まで十分に栄養が行き渡り、胃腸の調子も良くなります。セロトニンやドーパミンの分泌が促されるので、安心感や幸福感、前向きな気分が増していきます。体内では「リンパ球」が増えるので、体内への異物の侵入を防いだり、抗体を作って次の感染を予防したりします。
しかし過剰になるとやる気が減退し行動力が衰え、感情が平坦になり、アレルギー症状が出たりします。
ストレスが溜まるとどうして自律神経が狂うのでしょうか?
ストレスを感じる状況を想像しましょう。
事態が思うように進まないことで、イライラしたり焦ったり不安になったりしますね。そうした感情は脳に「危険信号」として伝わり、交感神経を活発化させて状況を乗り切ろうとします。
少しの間だけならいいのですが、長期間続くと副交感神経とバトンタッチできなくなり、両者のバランスが崩れてしまいうのです。
自律神経を整えるにはどうすればいいでしょうか?
上記でもお話したように、自律神経は体内時計との関わりが大きいです。人間の体内時計は、朝起きて活動を開始し、日が落ちると休息状態に入り、夜間は睡眠を取ることで24~25時間で一巡します。このリズムを守ることが第一です。
例えば昼夜逆転しているなら、昼型行動へ戻す、夜勤業務の場合は昼間でも7時間睡眠を取れるようにする。コロナで家にこもる生活が続いているので運動不足の方も多いでしょう。少しずつ屋外活動も出来るようになってきていますから、運動不足の改善や、デスクで出来るストレッチも有効です。
偏ったものの見方(認知)によってストレスを感じやすい方は、日記をつけたりして自分の思考の癖を見直して変えてみる、という方法も有効でしょう。
自律神経を安定させるにはどうしたらいいでしょうか?
自律神経は前述したように「交感神経」と「副交感神経」の二つから成り立っています。このバランスが取れるようにすることが安定へつながります。
どちらが過剰になっても問題なのですが、現代社会は刺激に満ちていて活動を促進する風潮が強いです。
そのため意識していないと交感神経ばかりが活発になります。
交感神経を活発にさせない、と言うのは難しいでしょう。自分で管理できないのが自律神経です。
なので、交感神経と逆の働きを持つ「副交感神経」を促進させる方法を考えては如何でしょうか。
- 動作、歩くスピードをゆっくりにする
- 深呼吸(5秒吸う→5秒息を止める→8秒で吐く)を繰り返す
- 1日2リットルの水をこまめに飲む(※一気飲みは胃腸がびっくりするのでNGです)
- 食事は一口をたくさん噛んでゆっくり時間をかけて取る
- 30分に1回は腕を伸ばしてストレッチする
など、自分のライフスタイルや得意不得意に合わせて取り入れてみましょう。
自律神経を整える食べ物はありますか?
自律神経は腸と深い関わりがあります。「腸脳相関」というそうで、腸の環境が悪くなると心臓に負担がかかり、血流が悪くなって脳に影響が出ます。
ということは腸の環境を整えることで自律神経にも良い影響が出ると考えられますよね。
一つ目は「水溶性食物繊維」です。
こんぶ、わかめ、めかぶ、オクラ、アボカド、山芋、納豆、熟したバナナなどです。
二つ目は「水」です。塩分・糖分・カフェインが含まれていない水を、1日2リットルを目安に、こまめに飲みましょう。
三つめは「動物性たんぱく質」です。
肉、魚、玉子などを、抗酸化成分がある大根やレモン、ニンジン、かぼちゃ、ナスなどと一緒に摂取しましょう。
四つ目は「ヨーグルト」です。腸内の善玉菌を増やすには有効ですし、デザートとして食べられるので摂取しやすいですね。ヨーグルト以外にも納豆、味噌、チーズ、糠漬けなども良いとされています。
自律神経が乱れているかどうかをセルフチェックしたい
以下をお試しください。一つでも当てはまる症状があれば乱れている可能性があります。
<体の症状>
□ すぐに疲れる、また、休んでも疲れがとれない
□ 夜、眠れなかったり、寝ても途中で目が覚めたりする
□ 胸の締め付け、息苦しさを感じる
□ 心臓がバクバクして、脈拍が速くなる
□ いつも手足が冷えている
□ 食欲がない、または、食べ過ぎてしまうことが増えた
□ 便秘と下痢を繰り返している
□ 肩や首の凝り、腰痛などがある
□ 頭痛や耳鳴り、めまい、ふらつきがよくある
□ 風邪をひきやすくなった
□ 肌が乾燥する、赤みが出てかゆくなることがある
□ 急激に体重が増加したり、むくみがでたりしている
<心の症状>
□ 何をするにもやる気が起きない
□ いつも焦りや不安などの心配事がある
□ 集中力がなく、気持ちが散漫になりやすい
□ 理由もなくイライラすることが多い
□ 他人からの評価や視線を気にしやすい
□ 思考力や決断力の低下を感じるようになった
□ 感動や喜びを感じることが少なくなった
□ 人前で緊張しやすい
□ 悪いニュースに影響を受けやすい
[出典:「決定版!図解いちばんわかりやすい自律神経」小林弘幸 (監修)、河出書房新社、2021年]
自律神経が乱れたために現れた症状の一つ一つに対処する方法は他にもあると思います。
例えば夜眠れないなら睡眠導入剤を、めまいやふらつきには鉄分を補給する、などですね。
しかし全体的に疲れやすかったり、あまり関連性が無い特徴が複数ある場合は、生活リズムと食生活を見直して自律神経のバランスを取り戻すことが、結局は一番の近道かもしれません。
気になる症状は悪化する前に専門医に相談しましょう。
それと並行して、生活や認知を見直すことで、自律神経を整えていくと、今後の健康に備えることも出来て二重に安心だと思います。
≪参考資料≫
「決定版!図解いちばんわかりやすい自律神経」小林弘幸 (監修)、河出書房新社、2021年
「眠れなくなるほど面白い 図解 自律神経の話: 自律神経のギモンを専門医がすべて解説」小林弘幸 (著)、日本文芸社、2020年
≪自律神経をケアする≫コラム
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