白黒思考を変えたい
「0か100か」「善か悪か」のような白黒思考で、二つしかない判断基準に振り回されて苦しんでいる人は多いです。
多くは、100か善になれないことで苦しんでいます。
100になれないから自分には価値がない、のように。だから100を目指して苦しむ。
本当に目指すのは、白黒思考オンリーになっている自分から卒業することです。
1.白黒思考とは
- ある範囲の選択肢があるのにそのうちの両極端しか考えない
- 特に選択を相手に強いるような状況で生じる(「お前が俺たちの仲間にならないなら、お前は敵だ」)
- 灰色(あいまいな状態)に耐えられず、ものごとをすべて白か黒かという極端な考え方でわりきろうとする。 いわゆるグレーゾーンや曖昧な領域を認めない
- すべてのことにおいて『良い/悪い』『やる/やらない』『許す/許さない』といった具合に判断する
こうして改めて考えてみると、とても窮屈で融通の利かない堅苦しさを感じます。
しかし意外と日常的にやってしまっている考え方でもあります。
月曜の朝に、「だるいから会社休んじゃおうかなー」と思うそばから「でもあの仕事は早く終わらせないといけないから」と出社する。しかし体調が悪いのは事実だったので、悪化した、という場合。
半休取るとか、残業はせず定時で帰ってくるとか、違う方法が思い浮かばないのです。
2.白黒思考の例
白黒思考とは実際にはどんな考え方で、どのように行動に現れるのでしょうか。
<例1>仕事上の些細なミスで「もう全部おしまいだ」と絶望する
↓
やっていたことを中断し、放り出す。
または会社を辞める(辞めたいと相談する、申し出る)
<例2>朝、挨拶の返事が無かったことで、今までのことを全部忘れてその人を嫌いになる、または「嫌われている」と思う
↓
翌日から無視する
<例3>一人で休憩を取ろうとする人に対して、「人それぞれ」と考えない
↓
「皆で一緒に休憩しないなんておかしい」とその人を責める
自分が良いと思うものや、正しいと信じることと違う状態は、確かに居心地がいいとは言えません。
「本当だったら○○になっていたのに(例1:仕事をパーフェクトにこなして上司に褒められていたはず)」と思い込み過ぎることで、それ以外の現実が受け入れられなくなってしまう。
または「私ならこういうとき○○するのにあの人はしなかった」という一点をもって、相手の人柄や自分との関係性を疑ってしまう。
どれも、自分が窮屈なだけでなく、周囲も巻き込んでしまう判断です。
3.白黒思考を変える方法
白黒思考自体を「やめよう」とするより、他の考え方のバリエーションを増やして「使う場面を減らす」ほうが現実的です。
では、どんな方法があるでしょうか。
①評価基準を増やす
「白か黒か」だけで考えているなら、違う基準を持ちましょう。
「正か誤か」だけで考えているとしたら、「好きか嫌いか」という基準を増やしてみるのはどうでしょう。
正か誤で考えると迷ってしまうとき、「好き」なのはどれか、と考えると、正と誤の中間を取れるかもしれません。逆もまた然りです。
②他者の意見をきく(たくさん)
白黒思考が強い人は、自分目線でしか物事を見ていない、とも言えます。
意識して他の人の意見や感想を聞いてみましょう。
「脱中心化」(相手と自分では見えている世界や考え方などが異なると理解し、自己中心的な認識から抜け出すこと)を、大人になってもう一度試みるのです。
他の見方が出来ることで、白か黒以外の判断が出来るようになります。
③思い込みを減らすために事実を記録する
例えば「Aさんに朝挨拶を返してもらえなかった」から「Aさんは私が嫌いなんだ」と考えてしまう場合、「それって事実だろうか」と自分で反論することが有効です。
そして反論する側の根拠に使えるのが、毎日起きている事実です。
たとえばBさんに話しかけても返事してもらえなかった時、あとからBさんから「さっきはごめんね、忘れ物したのに気がついてそのことばかり考えてて」と謝罪されました。
同じことがAさんにも起きていた可能性があります。
理由は自分が決めつけたもの一つだけではない、と気がつけるのです。
そのためには、日記など形に残る記録が役に立ちます。
④グレーゾーンやグラデーションを体験してみる
白か黒か、だけで物事を判断している、ということは、グレーや黄色や赤や青の状態を選ばない、そして経験したことがない、とも言えます。
白か黒か、で判断した結果のメリットだけを過大評価しているのです。
そういう状態の人に、グレーもグラデーションでもいいじゃない、と説得しても響きません。
実際にグレーゾーンを体験してもらうことが有効です。
そして、グレーな状態でも不安な予想は実現しないし、思っていたほど不快でもない、むしろ選択の幅が広がる、という事実を知ってもらいましょう。
⑤リフレーミング
リフレーミングとは、ひっくり返すのではなく「どっちもアリ」という意味です。
白いものを黒にひっくり返すだけなら白黒思考と変わりません。
「白でもいいし黒でもいい、どちらも存在してOK」と考えることで、自然と白黒から離れられます。
「太ってても痩せてもいいじゃん、今元気なんだから」みたいに。
4.白黒思考も使いよう
「白黒思考は悪だ」と決めつけるもまた、白黒思考ですよね(笑)
白黒思考も、長所が無いわけではありません。
- 決断が早い
- 二択⇒わかりやすい⇒他者に理解されやすい
というメリットがあります。
白黒思考か、あいまいさを受け入れるのか、他の判断基準も並行して決めるのか。
状況に合わせて使い分けることが出来ると、自分が楽に、自由になれるのではないでしょうか。
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