気持ちの切り替えがうまくいかないあなたへ ―リフレーミングで心を整えるヒント―

気持ちの切り替えがうまくいかず、「ちゃんとやっているはずなのに、なぜか気持ちがついてこない」と感じることはありませんか。
そんなとき、人はつい自分の努力不足や性格の問題だと思い、自分を責めてしまいがちです。
けれど、気持ちが整わないのには理由があります。そこには、人の心が動く仕組みが関係しています。
この記事では、気持ちが乱れる背景をひもときながら、見方を少し変えることで心に余裕を取り戻す「リフレーミング」という考え方と、その具体的なやり方をお伝えします。
目次
- 1.頑張っているのに、気持ちがついてこない理由
- 2.気持ちが整っているとき、人は何ができているのか
- 3.見方を変えるだけで、心が楽になることがある
- 4.気持ちがざわついたときの、リフレーミングのやり方
- 5.まとめ:言葉の角度を少し変えるだけで、前に進めることがある
- 自分軸を育てて、そこから「見る」力を育てる
1.頑張っているのに、気持ちがついてこない理由
実際にどれくらい努力しているかの「量」に関わらず、自分のやったことに対して自信が持てなかったり、期待していたような成果や見返りが無ければ、「頑張ろう」という気持ちが薄れていくのは自然な流れです。
それは人の心の「動機づけ」の仕組みにあります。
人の心が動き続けるためには、「やってよかった」「意味があった」という感覚が必要です。
それが、いわゆる「動機づけ」や「やる気」と呼ばれるものです。
動機づけは、何かしら「ご褒美」を必要とします。
外からもらうご褒美があるから頑張れる場合を「外発的動機づけ」。
自分の内側から湧いてくる感情や認識を元に頑張る場合を「内発的動機づけ」と呼びます。
どちらであっても、得られるものがあると継続します。
得られないと、放置していた焚火の炎が小さくなるように低下していきます。
この仕組みを無視して「気の持ち様だから、しっかりしなきゃ」と自分を鼓舞したり、「まだ頑張りが足らないんだ」と叱咤しても辛くなる一方です。
そして「こんなに頑張ってるのに、自分の気分くらいどうしてキープ出来ないんだろう」と、自分を責めるループが始まってしまいます。
頑張っているのに気持ちがついてこない、やる気が薄れていってしまう理由は、感情を感情で変えようとしているからなのです。
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2.気持ちが整っているとき、人は何ができているのか
気持ちの切り替えが上手くいかない状態とは、気持ちや思考を自分で掴み切れていないような状態です。
喩えるなら、色んな道具や書類がデスクいっぱいに散らばっていて、どこから手をつけたらいいか分からなくなっているイメージですね。
では反対に、気持ちが整っている状態とは、どんな状態でしょうか。
1つ目は「考える余裕がある」。
気持ちの切り替えが出来ないと、どうしても感情に振り回されます。感情は思考よりも本能に近いため、高ぶると思考が十分に働かなくなります。本来の自分のパフォーマンスが発揮できないのです。
気持ちが整っていると、落ち着いて物事を考える「余白」があります。すると、何か問題が起きても状況を分析して「ではこの後はどうすればいいか」を自分で考え着いたり誰かに相談することも出来るため、更に気持ちが安定していきます。
2つ目は「今の自分にできること」を基準に考えられること。
気持ちが乱れていると、とにかくこの状態を収めないと、ここから脱したい、という「回避傾向」が高まります。
それはそれで色んな方法を思いつくかもしれませんが、実際に今自分が実行できる方法か、というと難しいのではないでしょうか。
気持ちが整っていると、不安や恐怖にあおられることなく「今ここで自分が出来ることは何か。それは何のためか」を落ち着いて考え、すぐに実行することが出来ます。それによって状況を変えることが出来て、抱えていた不安や恐怖は更に低減するでしょう。
3つ目は「自分にも他者にも優しくなれる」です。
気持ちが乱れて余裕が無ければ、人は自分を危険から守ろうとします。これは当たり前の防衛行動です。
自分の安全安心が最優先になると、当然周囲に配慮する余裕は無くなります。不本意な発言や行動も出てくるでしょう。それが後に自分を苦しめることになります。
気持ちが整っている=周囲に目を配る余裕がある状態です。まずは自分の気持ちを落ち着かせ、その後で他者への配慮を検討することができます。
3.見方を変えるだけで、心が楽になることがある
乱れてしまう気持ちは、余裕を取り戻すことで立て直すことができます。
その方法は実はたくさんありますが、今回は「見方を変える」というアプローチをご紹介します。
物事の見方を変えると、なぜ気持ちが整うのでしょうか。
①出来事そのものより「どう受け取ったか」が影響する
なにか出来事・アクシデントが起きたとき、人はほぼ反射で感情に支配されます。
驚き、恐怖、恥ずかしさ、不安、焦り。
ですがこうした感情が呼び起こされるには、事前のステップが存在します。
出来事が起きる
↓
自分のものの見方・考え方が発動する
↓
感情が呼び起こされる
という流れです。
ということは、2番目の「自分のものの見方・考え方」に目を向けることで、その後に生まれる感情も変化しますよね。
感情の種類が変われば、更に言うと自分が受け取りやすい・整えやすい感情が喚起されるなら、それほど慌てる必要はなくなるのです。

②同じ出来事でも、見方はひとつじゃない
では「自分のものの見方・考え方」は変えられるのだろうか、という疑問が出てくると思います。
正確には、今の見方・考え方(認知)を「変える」のではなく、新しい認知を増やす、という方法になります。
同じ物事や事象も、見方(認知)を変えると見えてくるものも変わってきます。
例えば、とても緊張する上役たちとの会議の時間は「早く終わってくれればいい」と感じて、1分が長く感じますよね。
逆に親しい友人や恋人と過ごす時間は「もっと一緒にいたい」と思うから、数時間でもあっという間です。
しかし時間の流れは一定です。自分の見方(認知)が違うことで、呼び起こされる感情が違うから、時間(物事・事象)への捉え方が変わっているだけなのです。
③どの見方が、今の自分を助けてくれるか
そしてものの見方とは、「良い見方」と「悪い見方」がある、というわけではありません。
今この場にいる自分にとって役に立ってくれる見方はどれか、です。
先ほどの事例で行くと、上司たちとの会議は緊張します。しかし逆に言えば、緊張するからこそ事前準備は抜かりなくやるし、それによって上司から良い評価がもらえたりします。全く緊張しないまま、まるで友達とお茶するような気分で会議に臨めば、逆の結果になる恐れもあるでしょう。
大切なのは「ものの見方のバリエーションを増やす」こと、そして状況に合わせて適切な見方を適用することで、感情を乱さず、余裕を失わずに対処することが出来るようになるのです。
4.気持ちがざわついたときの、リフレーミングのやり方
乱れた気持ちを整えるための「見方を変える・増やす」方法を「リフレーミング」と呼びます。
その方法を3ステップでご紹介します。
ステップ1:起きたことを事実だけで書く
【ワーク】最近、心がざわついた出来事を1つ思い出し、「何が起こったか」だけを客観的に書き出します。
例:「昨日、夫が夕飯を食べずに寝てしまった」
ポイント:評価や感情はまだ入れず、ビデオの実況のように。
ステップ2:そのとき浮かんだ気持ちを書き出す
【ワーク】その出来事を受けて心の中に浮かんだ「考え」や「感情」を正直に書き出します。
例:「私の作ったご飯が嫌だったのかな」「ちょっと傷ついた…」
ポイント:正解はありません。頭に浮かんだまま書いてOK。
ステップ3:別の見方をひとつ足してみる
【ワーク】その出来事を「友人の話を聞いているつもり」で語り直してみます。あるいは、未来の自分が振り返るとしたらどう語るか考えてみましょう。
例:「彼は疲れすぎていて、食欲もなかったのかもしれない」
ポイント:違う見方を試すだけで、気持ちが少し変わる体験を大切に。
リフレーミングは「見方を増やす」ことが目的、とお伝えしました。
別の見方が出来るようになると、受け取り方が変わり、心の中にも少しずつ変化が起こります。
- 私だけが悪いんじゃないんだ
- 八方塞がりかと思ってたけど、そうじゃないかも
- 今の私でも、これなら出来そう
と考えることが出来るようになります。
つまり、解決への一歩を踏み出す余裕が生まれます。
慣れるまでは少し難しく感じるかもしれません。
でも大丈夫。言葉の角度を変えるだけで、心はふっと軽くなることがあるのです。

5.まとめ:言葉の角度を少し変えるだけで、前に進めることがある
責任や役目、タスク、「頑張らなきゃ…」が強ければ強いほど「私が全部悪い」という結論に結び付けがちです。
これは「事実」としてはじき出された結論ではなく、余裕を持てず、何とか今ある情報だけで原因と結論を導き出そうとしたことから生まれる「感想」に過ぎません。
しかし切羽詰まった感情とセットだから、自分を強く縛り付けてしまいます。
ここで「気持ちで気持ちを立て直そう」としても、方向転換するだけの余白が無いので難しいです。結果、再び「私が悪い」に戻ってしまいます。
この状態になった時に必要なのは、今持っていない「情報」です。
それを得るための「新しいものの見方」を与えてくれるのが今回の「リフレーミング」です。
大事なのは「変わること」ではありません。
リフレーミングしたことで生まれるのは「変化」よりも「余裕」です。変わるかどうか、余裕をどう使うか、は自分の自由です。
あなたを守ろうと必死になっている感情に押し流されず、受け止めて整理して、「今できることは何か」という視点を得ることから始めてみてはいかがでしょうか。


