RASとミラクルクエスチョンでつくる、自分軸の未来設計

-あなたの未来は、あなたが創る-
未来について考えようとすると、不安や迷いが先に立ってしまうことはありませんか。
それは、意志が弱いからでも、前向きになれないからでもありません。
私たちの脳は、これまでの経験や安全を守る仕組みによって、無意識のうちに「変わらない選択」を優先するようにできています。
この記事では、脳の情報の選び方(RAS)と「ミラクルクエスチョン」という問いを使って、未来を無理なく思い描き、現実の見え方を変えていくヒントをお伝えします。
目次
- 1.なぜ私たちは「未来」を不安に感じやすいのか -2つの能力-
- 2.未来を選び取る鍵は「脳の使い方」にある
- 3.問題解決志向の「ミラクルクエスチョン」が未来を描く理由
- 4.RAS × ミラクルクエスチョンで起きる変化
- 5.「RAS × ミラクルクエスチョン」で起きやすい変化(事例)
- 6.まとめ:あなたの未来は、今日の視点の積み重ね
- ≪未来志向を支えるのが、自分軸≫
1.なぜ私たちは「未来」を不安に感じやすいのか -2つの能力-
①過去の経験が未来の見方を決めてしまう理由
私たちは学習する生き物です。
学習とは、学校の勉強のことではありません。過去の経験から「何が自分にとって役に立つのか」を選び取って、次の経験に生かすことです。
これは生きていく上で不可欠な能力ですが、一つ注意点があります。
過去に経験したときに感じた感情が強烈に記憶に刻み込まれてしまうと、そのときの「恥ずかしさ」「怖さ」「悔しさ」を二度と味わわないようにすることが「自分を守る行動だ」と学習してしまいます。
すると「○○をする」ことより「○○をしないこと」のほうが優先度が高くなります。
例えば「学校で皆の前で発言したら一部のクラスメイトから笑われた」経験があるとします。その時非常に恥ずかしい思いをしました。すると「みんなの前で発言する=恥ずかしいこと=避けるべき行動」とインプットされてしまいます。
大人になってなりたい職業や立場を思い描いたとしても、この時のルールが作動すると一歩前に踏み出すことが出来なくなりがちです。
こうした理由から、過去の経験が未来を限定してしまうリスクをはらんでいる、と言えます。
②無意識に働く「現状維持」の力
私たちに備わる能力のもう一つが「現状維持」能力です。これを「ホメオスタシス」と呼びます。厳密に言うとホメオスタシスは『身体的な状態を出来るだけ一定に保とうとする』能力です。これによって体温や自律神経を一定に保ち、健康を保つことが出来ます。
ホメオスタシスは、言ってみれば「自動運転の安全装置」のようなものです。急な変化が起きそうになると、「一度スピードを落とそう」とブレーキをかけてくれます。
同様に心理的にもこの「現状維持」機能が働きます。
今の環境、人間関係、役割や立場などを可能な限りキープしようとします。
それは、人にとって変化は脅威だからです。それがたとえ結婚や昇進のようなポジティブな変化であってもです。変化が起きればそれに適応しなくてはいけないからです。新しい環境へ適応するのはエネルギーが必要で、ストレスがかかりやすくなるからです。
- こうなりたい
- もっと○○したい
- ○○な人間になって成し遂げたいことがある
と思い描きつつ、心身への負荷を高めすぎないためにどこかで現状維持機能が働きます。
こうして、私たちは気づかないうちに、「未来を考えること」そのものを怖く感じるようになっていきます。
それは怠けているからでも、意志が弱いからでもありません。
過去の経験から、必死に自分を守ろうとした結果なのです。
すると、私たちの意識は次第に「うまくいかない理由」や「やっぱり無理かもしれない証拠」に向きやすくなっていきます。
2.未来を選び取る鍵は「脳の使い方」にある
①RAS(網様体賦活系)とは何か
「網様体賦活系」という用語を聞いたことはあるでしょうか。「もうようたいふかつけい」、または「RAS(ラス)」という呼び方もあります。
脳内の「脳幹」という部分にある神経ネットワークで、私たちが五感から得る情報の中から重要な情報を選択するフィルター機能をもっています。
私たちは文字・画像・動画・音声など合わせて1日に数十ギガバイトもの情報を受け取っていると言われています。これはおよそ何万~何十万ページ分の本を一日で読む量に相当する情報です。
こんな凄まじい量の情報を意識して考えながら選別するなど不可能ですよね。
これを自動でフィルタリングし、重要な情報のみ取り入れ、私たちの意識を向けるように交通整理しているのが「RAS」なのです。
②見たいものだけを見ている私たちの脳
よく聞く「引き寄せの法則」が働くように感じるのもこのRASの仕組みがあるからです。
うまくいく未来を思い描くと、その未来につながる出来事やヒントが目に留まりやすくなります。
現実が変わる前に、まず見る世界が変わるのです。
RASが私たちにとって「重要な情報を選択するフィルター」である、とお話しました。
では、何を基準に「重要かどうか」を判断しているのでしょうか。
それは私たちが普段から活用している、自分自身の思考・認知・欲求です。
これらにマッチするものをRASは「重要な・必要な・選択価値がある」情報と判断して拾い上げているのです。私たちが「これが大事だ=見ようとしている」ものに焦点化されているんですね。
この「これが大事だ」と思う、という部分がポイントです。
先ほどの章で「みんなの前で発言=恥=回避したいもの」という図式が出来上がる事例をお話しましたが、「○○は避けたい・怖い・なりたくない」という思考もまた重要な判断基準として働きます。
私たちの思考や認知、感情が現実を形づくる、というのは、それらにヒットする情報を元に判断・選択・行動しているから、なのです。
だからこそ、
「最近、嫌なことばかり目につく」
「うまくいかない証拠ばかり集めてしまう」
という状態も、実はとても自然な反応なのです。
③未来に意識を向けると、現実の見え方が変わる
私たちの思考や認知は過去の経験から学んだ学習結果が大きく影響しています。「過去」がベースになって、未来、つまりこれからどうしていけばいいか、を判断しているのです。
それ自体が間違っているわけではありません。過去の経験は生きていく上で非常に大事なデータベースです。そこから得た経験則はあなただからこそ見出したマイルールと言えます。
ただ、この「過去ベース」の思考や認知が作り上げた「今」に何かしら不満や問題を感じているとしたら、どうしたらいいでしょうか。
その方法の一つが「未来志向」です。
過去から学ぶだけではなく、「もしこうなったら」という判断基準もプラスしていくことで、RASが情報をフィルタリングするときの傾向が変化します。
それによって現実の見え方、いずれは現実そのものが変化していくのです。
3.問題解決志向の「ミラクルクエスチョン」が未来を描く理由
①過去=原因ではなく「望む未来」から考えるという発想
前章の最後でお話した「未来志向」ですが、どんなものか、イメージしていることはありますか?
未来と対になる言葉は「過去」です。
そして私たちが常に過去を気にするのは「どうしてこうなったのか」と、目の前の問題をひも解く方法として「原因を探そう」とする思考が働くからです。これをここでは「原因追及志向」と呼びたいと思います。
原因を考え続けていると、
- 「分かっているのに変われない」
- 「考えても考えても同じところに戻ってしまう」
という感覚を抱くことも少なくありません。
なぜこうなったか、を考えることもまた無駄ではありません。同じ失敗やトラブルを繰り返さないための振り返りとして重要です。
ただ、原因を探すことにばかり終始していたからこそ、あまり満足できない「今」があるのだとしたら、違うやり方を試すのはやぶさかではありませんよね。
「○○という原因があったからこうなった」をひっくり返して「○○になるためには今から何をしたらいいのか」と考えることが「未来志向」です。
≪おすすめコラム≫解決志向で自分軸を磨き、人生を前向きに変える方法
②「もし奇跡が起きたら?」が脳に与える影響
「もしも奇跡が起きて、自分の理想の1日を過ごすとしたら、どうしますか?」
と聞かれたらどうしますか?
意外と答えに困ってしまいますよね。
この質問を「ミラクルクエスチョン」と呼びます。
今あなたの悩みの元になっている問題がぜーんぶ解決した状態を想像しましょう。
- 起きたとき、何を感じますか?
- どんな1日を過ごそうと計画しますか?
- 誰に会いますか?
- どんな気分で1日を過ごしますか?
実現するかどうかは今は考える必要はありません。「実現するか?」を考えると今度は「どうやって?」と方法に思考がフォーカスします。それはまた後でやることなので、今は考えなくて大丈夫です。
自分の理想の1日をリアルに想像すると、その状態にある自分が感じるだろう感情もセットで湧き上がってきます。ワクワクする人もいれば、「少しホッとする」「肩の力が抜ける」そんな感覚が出てくる人もいるでしょう。そして「こうなりたい」と強く考えると思います。
ここで、先ほどのRASが動き始めます。「こうなりたい」未来に役立つ情報をフィルタリングし始めるのです。例えるなら、脳が「この未来に向かうためのアンテナ」を立て始めるようなものです。
そうすると、今までとは違う情報に目が向き始め、次第に判断・選択・行動が変化します。
気づけば過去や原因についてばかり考えていたときとは違う状況に身を置いているようになるのです。
4.RAS × ミラクルクエスチョンで起きる変化
①未来を言葉にすると脳がアンテナを立て始める
先ほどの「ミラクルクエスチョン」によって「こうなったら良いな」という未来を思い浮かべる習慣がつくと、RASの情報フィルターの機能に変化が起きる、というお話をしました。
私たちが抱えやすいネガティブ感情の一つに「不安」があります。不安とは、どうなるか分からない不確定な要素に対し、確信が持てないことで起こります。
これはとても自然なことです。なぜなら私たち人間は、今この瞬間目の前にあるものにしか確実な手を打てないのです。未来はその時にならなければ確定させられません。
不安感が高まるほど、安心安全を求める気持ちが強まります。そして安心安全とは「過去に経験してきたこと」から想像したものであることが多いです。
つまり不確定な未来を不安視すればするほど、一度経験したことを再現しようとしてしまうのです。
その選択が正しいこともあるでしょう。ただ、人生全体を見渡した時、どうでしょうか。
常に同じ場所をグルグル回り続けるような生き方で、私たちは本当に満足するのでしょうか。
私たちが常に悩んだり迷ったり学んだりしながら大小さまざまな挑戦を繰り返すのは、目指す未来へ到達したいからではないでしょうか。
ミラクルクエスチョンは、「どこへ向かいたいのか」を脳に伝えるための問いです。
そしてRASは、その方向に必要な情報を探し始める役割を担います。
②小さな変化に気づけるようになる理由
RASの情報フィルター機能が変化しても、一瞬で全てがガラッと変わるわけではありません。
ガラッと変わるとそれもまた大きな変化で、変化に対応するのが苦手な私たちは混乱してストレスを感じます。
変化は少しずつ現れます。
今までなら気にしなかった有名人のSNSをチェックするようになったり、読まなかったような本を手に取るようになったり、仕事のやりがいを感じるテーマが変わったりします。または無意識のうちに「勉強の時間を作りたい」と考えて朝1時間早く起きるようになるかもしれません。
こうした小さな変化は、一つ一つは後から考えた時に「そういえば」的に気づくことが多いです。そういえばあの時AではなくBを選んだから今ここにいるんだな、みたいな感じです。
この小さな変化に少しずつ順応していくことで、抵抗感や過度の疲労を覚えずに自然に「過去の体験をグルグル繰り返す」輪から抜け出していきます。
いつもと違うな、と気づきだした時にはもう変化した後なのです。
③「できない理由」より「できている兆し」が見えてくる
RASには情報フィルター機能のほかにもう一つ機能があります。
RAS自身がフィルタリングした情報を元に、私たちが目標を実現できるようになるためのルートづくりをしてくれます。いわばナビゲーター役です。
先ほどミラクルクエスチョンの項で「どうやって実現するかは考えなくていい」と申し上げました。その理由がこれです。
私たちが意識して「どうやって実現させようか」と考えると、これもまた過去の経験の中から探ろうとします。しかしそこに答えはありません。当然です。まだ到達していない場所へ向かうために、一度通ったことがある道だけでたどり着けるはずがないからです。
どうやって目標を達成するか、は、RASが導いてくれます。
もちろん直接声が聞こえるわけではありません。
ふとした直感、感覚、快不快、ひらめきなどを通して、です。
そうすると「なぜできなかったか」という過去を見続ける姿勢が、気づけば「もしかしたらこっちを選んだら何かが変わるかも?」という可能性にシフトしていきます。
目指す目的地はミラクルクエスチョンが、そこまでの道のりを示してくれるのがRASなのです。

5.「RAS × ミラクルクエスチョン」で起きやすい変化(事例)
ミラクルクエスチョンで未来を思い描き、その方向に意識を向け始めると、日常の中に少しずつ変化が現れてきます。
実際にどんな変化が起きるでしょうか。5つの事例から考えてみましょう。
① 選択の基準が「周り」から「自分」に戻ってくる
未来の自分を思い描くことで、「人からどう思われるか」より「その未来の自分ならどう選ぶか」が判断基準になります。
結果として、無理な予定や役割を自然と減らせるようになります。
② 不安を感じたときに、立ち止まれるようになる
不安を「なくそう」とするのではなく、「今、未来がぼやけているサインだ」と気づけるようになります。
感情に振り回されるのではなく、一度立ち止まって選び直す余裕が生まれます。
③ 「やらなきゃ」より「やってみたい」が増える
未来の一日を具体的に描くと、義務感で動いていた行動が減り、「これ、やってみたいな」という感覚が戻ってきます。
行動のエネルギー源が変わる変化です。
④ 小さな成功や前進を自分で認められるようになる
「まだ足りない」ではなく、「すでに少しできていること」に目が向くようになります。
自己否定が減り、自分への信頼感が静かに育ちます。
⑤ 情報の受け取り方が変わる
以前はスルーしていた本、言葉、人の話が、「今の自分に必要なヒント」として引っかかるようになります。
偶然のように見える出来事が、意味を持ち始めます。
一つ一つの変化は、とても小さなものかもしれません。
だからこそ、「本当に意味があるのかな?」と感じることもあるでしょう。
けれど、その変化は「あなたがどこへ向かいたいか」を基準に起きています。
自分で考え、選ぶという小さな積み重ねが、少しずつ思考や視点を変え、やがて行動や環境、そして自己肯定感にも影響していきます。
気づいたときには、以前とは違う場所に立っている自分に出会うかもしれません。
6.まとめ:あなたの未来は、今日の視点の積み重ね
① 未来は「当てるもの」ではなく「育てるもの」
未来は、突然どこかからやってくるものではありません。
今日どこに意識を向け、何を大切だと感じ、どんな選択を重ねるか。その積み重ねによって、少しずつ形づくられていきます。
ミラクルクエスチョンは「向かいたい方向」を示し、RASはその方向に必要な情報を見つけ続けてくれます。
未来は予測するものではなく、育てていくものなのです。
② 自分の人生の舵を、自分の手に戻すために
周りに合わせる選択や、過去の経験に縛られた判断を手放し、「自分はどこへ向かいたいのか」と問い直すこと。
それだけで、人生の主導権は少しずつ自分の手に戻ってきます。
大きな決断は必要ありません。
今日の小さな視点の変化が、明日の選択を変え、やがてあなた自身の人生を静かに動かしていきます。

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