家族ケアラーが未来のために出来ること

家族ケアラーが未来のために出来ること

頑張って家族をケアしているのは、今とこれから先の未来のためですよね。
もういい、ここまで、と思うならこんなに頑張らない。
でも疲れちゃうと「何で頑張ってるんだろう」ってわからなくなる時があります。

家族ケアラーが頑張るのは未来のため。
未来のために出来ることが分かっていると遣り甲斐も感じられます。
じゃあ、どんな未来のために、今何を頑張るのでしょうか。

1.「どうなるか」<「どうなりたいか」

家族が病気など何かを抱えると、「これから私たち家族はどうなっちゃうんだろう」と考えます。
予期していなかった出来事に流されてよく分からない場所に連れていかれるような不安が尽きません。

「どうなるか」が気になるのは、これから起きるだろう予期しない出来事やアクシデントが「絶対起きる」と考えてしまい、そこに意識が集中してしまっている状態です。
家族がうつ病になった、というのもある意味予期しない出来事ですから、そういう体験をした直後なら「どうなるか」に過敏になってしまうのも仕方がないことです。

ただ、予期しない出来事は起きるかもしれないけど起きないかもしれない。起きるとしても何が起きるか分からない。
分からないこと尽くしですから、想像するだけで予防や備えることは出来ません。
振り回されて疲れ切って、有限である心身のエネルギーを使い果たしてしまいます

どうなるか、が気になって仕方がないのは、方向性が分からないから、とも言えます。
ランチで、出されたものを絶対完食しなきゃいけない、となれば、「嫌いなものが出たらどうしよう」と不安になります。

ですが「○○が食べたい」と、先に意思表示をしていたらどうでしょうか。
例えばパスタが食べたいなら、そういう料理を出してくれる店に向かって歩き始めます。

それと同じで「どうなりたいか」ある程度決めておくことで、心身のエネルギーの不要な消耗を防ぐことが出来ます。

2.「どうなりたいか」は行動の塊

「どうなりたいか」って考えると、それはそれでたくさん思い浮かぶでしょう。
何も思い浮かばないよりは、たくさん浮かんでくるほうがいいかもしれません。
ただ、思い浮かんだものに縛られ過ぎてしまうと、現実味が薄れます。
現実味が薄れるということは、実現可能性も低くなる、ということです。

ではどんな「なりたい」実現可能性が高いのでしょうか。
それは、自分・家族の「今」と繋がるものです。

今やっていること、持っているもの、出来ていること、好きなこと、やりたいことが「未来のために出来ること」の種になるのです。

3.「今」を育てる

「今」と言われても…、と「うーん」と考えこんでしまいますよね。
自分のことは自分が一番見えづらいです。
特にネガティブな問題に取り組もうとしている時は、自分の中のネガティブスイッチが入ってますから、「出来る」より「出来ない」が強力に見えてきます。

まずは「今」棚卸しましょう。以下は事例です。

  • ○○県○○市に住んでいる
  • 夫は休職することになった、妻はパートで日中働いている
  • 子どもはいない
  • 両親は健在だが遠方に住んでいる
  • 夫は1日中家にいる

これは「情報」ですね。この情報を使ってみると、

『○○市は中核都市に近いからほどよく便利で周囲も静かだからうつ療養の邪魔はしない。妻はパートだけど1日7~8時間働いているから正社員に転職も可能。夫が家にいるから宅配を受け取ることは出来る。子どもがいないから教育費の心配は要らない。親も健康だから介護の心配不要。場合によっては実家を頼れる』

と変換できます。
「今」の種がいくつか育っているのが分かるでしょうか。
妻が正社員になること、いざとなれば実家に帰ることも可能という点です。
「育てる」とは「今後採用出来る可能性を見つける」ことです。

4.育てる方向性が「どうなりたいか」

昔、夏休みの宿題で朝顔を育てたことがある人は多いと思います(昭和?)
朝顔は蔓草なので、蔓を伸ばすために支え?突っ張り棒?みたいなのを横へ刺しました。
そうすると棒に沿って蔓が伸びて、その先に花が咲きます。

それと同じで、「今」という種を可能性を広げて育てるときには、方向性という「棒」が必要です。
それが「どうなりたいか」です。

自分たち家族は○年後、未来どうなりたいか、を考えましょう。
いつかうつを克服して社会復帰して、子どもを望むか。
再発しないようにゆっくり過ごせる仕事を探してついでに転居もするか。
または二人で一緒にビジネスを始めるか。
「今」から繋がる未来の中から選びましょう。

そして選び方のコツは「具体的な行動が思いつくかどうか」です。
具体的な行動が、種⇒芽に毎日遣る水と日光です。

今⇒「どうしたいか」の未来までの道のり

5.未来のために出来ることは

現在から見る「未来」は、漠然とした遠いもののように感じますが、いつか自分たちが経験する「現在」とも言えます。
そのためには、病気になった本人はもちろん、ケアする側の人にとっても意味のある未来でありたいです。

自分が、そして家族が「どうなりたい」と思っているかを、「今」を材料に考えていくことが、ケアラーが未来のために出来ること、ではないでしょうか。

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