頑張らなくていい、と言われても…
疲れていたり、悩んでいたり、ストレスをため込んで元気がなくなったとき、周囲にいる優しい人は「頑張らなくていいよ」といってくれるでしょう。
それでも頑張ってしまう人がほとんどです。
それは何故でしょうか。
どうしたら、頑張らなくていいのに頑張ってしまう状態から抜け出せるでしょうか。
<具体事例>
夫がうつ病で失職したため、妻は従来の収入を維持しようと、今まで以上に仕事を頑張るようになって、残業が増え、任される業務も増えた。
うつが悪化中の夫には頼れないと思い、家事、夫のケアも一人で担った。
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ストレスでイライラしたり疲労がたまって体調が悪くなることが増えた
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家族、同僚などから「そんなに頑張らなくていいよ」と言われた
原因① 頑張らざるを得ない
「頑張らなくていい」と言われても、頑張らざるを得ない、無理しないといけない、という時があります。
- 自分が頑張らないと、家族/職場が回らなくなる
- 自分の代理がいない
- 収入を得るため
- 大事な役割を果たすため
理由はそれぞれですが、「そうか、頑張らなくていいんだ」とすぐに納得できない理由があるからです。
原因② マイルール
周囲の環境や条件だけでなく、自分で自分に「頑張らなくてはいけない」と課している場合もあります。
- 頑張る以外の方法が分からない
- 頑張らない、という状態が分からない
- 頑張っていない自分には価値がない、と思っている
- 完璧主義
子どもの頃から、「出来たこと」より「出来なかったこと」を指摘され続けた経験がある人に多いでしょう。
テストで85点取れたら、普通は褒められます。
けれど「15点は何を間違えたのか」だけを追及されるような体験です。
何が欠けている?
頑張らなくていい、と周囲から言われるというのは相当無理をしている状態といえます。
普通の努力や頑張りは、周囲は気づきづらいです。それが傍から見て心配になるレベルなのですから、かなり危険な状態です。
頑張り「過ぎ」という超過状態と、頑張り過ぎなくては「いられない」欠乏状態が併存していると言っていいでしょう。
では、どんな要素が欠けているのでしょうか?
①「こうなったらいいな」という仮定
頑張らなくてもいいレベルまで頑張り続けてそれがやめられない、とは、その逆の状態を想定出来ていない、とも言えます。
頑張るか頑張らないか、は、一旦置いておいて、
『こうなったら、こんな風に過ごせたら、こんなことが出来たらいいな』
という、理想を思い描いて、それに対して不足している要素を補充していく、というやり方だと、「過ぎる」ことが減っていきます。
②頑張り過ぎて辛くなっている状態への自覚
周囲から見て心配になるほど頑張っているのに、自分自身が「頑張りすぎ」を分かっていないために「まだ大丈夫」と考えて止めない、ということも考えられます。
頑張っているかどうか、が分からなければ、それ以外の状態をチェックしましょう。
- 体重が急に減った/増えた
- ちゃんと眠れない/寝ても寝ても眠い
- 肌荒れが続く
- 風邪が治らない
- ミスが増えた
等、自分なりの「辛さのバロメータ」があります。
③辛さを表現する方法・場所・相手
しんどいなぁ、と思っても、それを心の中で抱えているだけだと、「辛いと思う=甘え」と考えてしまい、辛さの無自覚、そして頑張り過ぎる状態へつながってしまいます。
誰かに状態や正直な気持ちを聞いてもらうことで、第三者の意見を聞くことが出来、それがストッパーになってくれます。
更に、辛い気持ちを他者と共有できるだけで、気持ちが軽くなったり、モヤモヤの整理がつけられたりします。
自分の辛い気持ちを、負担にならない方法で、場所(リアルか、オンラインか、会社か、プライベートか)で、気の置ける相手に表現することが必要です。
余裕が出来た時に「もしも」の準備
これらを辛さ超過状態の時に取り組もうとしても難しいでしょう。
ですので、気持ちや体力に余裕があるときに準備しておくことをお勧めします。
特に、「問題の具体化」は有効です。
どんなことに困っていて、何が足らないから頑張らざるを得なくなっているのか、が明確になっていると、家族や上司などの関係者に相談がしやすくなります。
そして「○○で困っている」と分かりやすく伝えることで、聞いた人も対策しやすくなります。
「相談したけど何も変わらなかった」というときは、相談された側も「何をしてあげればいいか分からなかった」という場合もあります。
何に困っているのか、何が必要なのか、は、当事者にしか分からないのです。
まとめ
頑張ることそのものはとても前向きでポジティブな行動とメンタル状態です。
それが「やり過ぎる」ことで自分を苦しめたり損なったりするのでは本末転倒です。
「頑張りすぎ=無理を重ねている」ことのデメリットを受け入れて、「頑張りすぎたら逆効果」ということに、自分が納得するところから始めては如何でしょうか。