「助けて」が言えない心理と対処法
困っている時、悩んでいる時、忙しい時、疲れている時。
大人には、自分一人では対処しきれない場面が数多く訪れます。
それでも「助けて」「手伝って」が言えない。
それはどうしてでしょうか。
「助けて」が言えない時、本当はどうしたいのでしょうか。
1.「助けて」が言えない理由
第三者からすると、どうして他人を頼らないんだろう、相談しないんだろう、と不思議に思うかもしれません。
けれど、どんなにしんどくてもキャパオーバーでも、人に頼れない、助けを求めることが出来ないことがあります。
例えば以下のような状況・心理状態です。
- 助けてくれそうな人が周囲にいない
- 以前助けを求めた時に断られた経験があり、トラウマになっている
- どうやって助けてもらえばいいか自分でも分からない
- どうせ無駄だ、と諦めている(無力感)
- 自分には誰かに助けてもらうだけの価値がない、と思っている
遡れば赤ちゃん時代にまで戻ってしまうかもしれません。
どんなに泣いても大人は助けてくれなかった。
そんな経験を繰り返してきた人は、「助けてって言えばいいのに」と言われてもピンときません。
勇気を振り絞って誰かに助力を求めても、「今は無理」「一人でやれば」と拒絶されれば、二度と手を伸ばそうとは思わないでしょう。
助けを求めないのは、その人個人の判断や責任ではありません。
今までの経験や試行錯誤の結果かもしれないのです。
だからこそ、一筋縄ではいきません。
2.必ずしも「助けてほしい」わけじゃない?
傍から見れば誰かに助けてもらったほうがいいような状況でも、そうしない場合もあります。
- 助けられなくても一人でやり通したい、やり通すことで(周囲を・誰かを)見返したい
- すぐにSOSを出すような自分になりたくない
- 自分から助けを求めなくても、周囲が先に気づいてくれるべきだ
- 自分の問題だから、一人で何とかするべきだ
- 余計なことを言われて自分のペースを乱されたくない
他者からの手助けやアドバイスは、必ずしも自分が心地よいものばかりとは限りません。
それは分かっているけれど、言われたことで自分のメンタルが損なわれたり作業がストップしたりモチベーションが落ちてペースダウンするくらいなら、今の状態をキープできるほうが良い、と考えて、助けを求めないこともあります。
3.「助けて」の深意とは?
例えば「死にたい」と言うとき。
本当に命を絶ちたいを思っている場合もありますが、「死にたいと思うほど辛い、苦しい」という状態を、一言で表している、ということもあります。
それと同じで「助けて」という言葉に、もっと別の意味が込められている場合があります。
- 気持ちを分かってほしい(手助けが欲しいわけではない)
- 努力や実績を認めてほしい、褒めてほしい
- 誰かにどうにか出来る問題ではないことは分かっている。でも辛い。
実際に言葉として他者に「助けて」と言っていなくても、心の中で「助けてほしい」という言葉が思い浮かんだ時、具体的な助けではなく、こうした別の願望が隠れているのではないでしょうか。
だから、リアルなSOSには繋がらないのです。
4.自分が求める「助け」とは?
助けて、の一言には色んな意味が複雑に絡まっています。
本人も、誰かに協力してもらったほうがいい、一人では手に負えない、ということが分かっていても、どう対処したらいいか分からない、ということもあります。
疲労感と、無力感と、ネガティブな感情で、落ち着いて分析して考える余裕がないとも言えます。
かといって、そのまま一人で踏ん張り続ければ、遠からず限界を突破します。
うつ病、適応障害、不眠症、パニック障害など、何かしらの疾病につながるリスクです。
そうならないためには、自分が求めている「助け」とは何か、を、知る必要があります。
「助けて」を、それ以外の言葉で言い換えてみましょう。
- 休みたい
- ○○(作業、役割、責任)を替わってほしい
- これ以上頑張れない、頑張りたくない
- 他にやりたいことがある
- もうやめたい
など、自分の気持ちや状況、求めているものにしっくりくる表現があるはずです。
それが手掛かりになります。
「休みたい」は分かりやすいですね。期間を決めて休養する。そして再開する。
役割を替わってくれる人を探す手伝いをしてもらう、というのもアリです。
恐らく言い換え表現は一つではないと思います。
探せば探すほど、自分の気持ちと状況の両方にぴったり当てはまる表現が見つかるはずです。
5.一つずつ変化していこう
手を付けられるところから、一つずつ取り入れていきましょう。
そうすれば、生活面の一部が変化していきます。
生活が変化すると、体調が変化します。
体調が良くなれば、メンタル面に余裕が出てきます。
メンタルの余裕は思考力の余裕です。他の手段が見えてきます。
他の手段に手を付けるのは、行動の変化です。
行動が変化すれば、状況が変わります。
ステップを一つずつ踏んで、「助けて」の気持ちを解きほぐしていきましょう。