愚痴を言うときの作法
先日、愚痴を聞く時の対処法についてアップしました。
今回は、愚痴を言うときの注意点や「上手な愚痴」とはどんなものか、について考えました。
1.愚痴を言う前の下準備
①今一番強い感情は何か
愚痴を言いたくなる時とは、何か強い感情に突き動かされている時であることが多いです。
怒り、悲しみ、落ち込み、ショック、恥ずかしさ。
愚痴は衝動的にこぼれ出てくるものですから、整理して話すのは難しいかもしれませんし、話しているうちに色んな出来事が数珠つなぎに想起されて、色んな感情が入れ代わり立ち代わり出てくるかもしれません。
しかし、聞いている側からすると、愚痴主のどんな感情を受け止めればいいのかが分かりづらいと、疲労が倍増します。
また、どんな感情を処理したいのかを明確にしておくことで、ポイントを絞って話すことも出来ます。
②相手に何を求めるか
愚痴とは、「今更言っても仕方ないことを言って嘆く」ことです。
ですから基本的には、相手にはそこに座っていてくれればいいだけかもしれません。
しかしもっと積極的に、共感の言葉が欲しかったり、励ましてほしかったり、場合によってはアドバイスが欲しいという人もいるかもしれません。
相手に何も求めないなら、愚痴を言う必要はありません。誰かに聞いてほしい、と言う欲求があるから、対象者を探して話すのです。
聞いてくれる人にどんな役割を期待しているのか、を、考えておきましょう。
ちなみに「アドバイスが欲しい」なら、愚痴よりも「相談姿勢」で望むほうが期待に沿う結果になるかもしれません。
③NGワードは何か
愚痴とはいえ、何を言ってもいいわけではありません。それは誰かに直接聞いてもらうときでも、インターネット上でつぶやく時も同じです。
聞く側にはその人の感情や立場があります。何がNGか、に留意しましょう。
- 特定人物の悪口
- 誹謗中傷、差別発言
- 仕事上の機密情報
には気を付けましょう。
2.誰に愚痴を聞いてもらうか、も大事
「所かまわず」なのが愚痴の特徴でもありますが、出来れば聞いてくれる相手を誰にするのか、も考慮しましょう。
誰彼構わず愚痴をこぼすことを繰り返していると、「愚痴っぽい人」として周囲からレッテルを貼られてしまいます。悩みの多い人として配慮してもらえることもあるかもしれませんが、忌避されることのほうが増えるでしょう。結果として、愚痴を吐いてすっきり出来たこと以上のデメリットをこうむりかねません。
また、愚痴の内容によっては、聞く相手の理解度が異なります。
会社の上司についての愚痴を家族に聞いてもらっても、その上司の人となりや仕事ぶりを知りませんから、共感は得にくいでしょう。
家庭の愚痴も、聞く人によっては「仕事場に持ち込むな」と嫌がられるかもしれません。プライベートな友人に聞いてもらうほうがスムーズでしょう。
個人的な感想ですが、どちらかというと女性のほうが愚痴を聞くのが上手です。
男性は下手というよりも、「どうしたら解決できるか」というアドバイス的思考になりがちです。しかし愚痴を言う側がアドバイスを求めていないことのほうが多いので、ずれが生じてしまいます。
しょーもない内容を、しょーがないなぁ、と思いながら聞くのが上手なのは女性に多いように感じます。しょーもない話をすることが多いのも女性なので(笑)
3.愚痴を言うときのマナー
愚痴自体は、やはりどうしてもネガティブなイメージが付きまといます。
とはいえ、絶対に言ってはいけないというものでもないと思います。
せめてマナーを心得てこぼしましょう。
①相手への感謝
愚痴を言うことがあれば、他者のそれを聞いた経験も、誰でもお持ちだと思います。
人の愚痴は、共感できる内容だったとしても、聞いていれば疲れたり自分のネガティブ感情が喚起されてしまったりして、良いことばかりではありません。
そうした役回りを引き受けてくれた相手に感謝を持ちましょう。
話し終わったら「今日は聞いてくれてありがとう」を忘れずに。
②必要以上に話し続けない
雑談と違うのは、愚痴は、言い出しっぺに主導権があります。愚痴主が話をどう進めるか、のハンドリングをしています。聞く側はそれについていくだけです。
いつまで続くか分からない話を延々と聞き続けるのも辛いですが、言う側も、延々と話し続ける中で、関係ない不快な記憶が呼び覚まされたり、聞いてくれる相手との関係が悪化してしまったり、単純に話疲れてしまったり、のようなデメリットも起きてきます。
愚痴は言い終わった後のスッキリ感がご褒美です。
そのためにもずるずると無限に話し続けるのはやめましょう。
③聞き手の言葉はちゃんと聞く
アドバイスは求めない・言わないのが愚痴のマナーではありますが、それでも聞いている人も人間ですから、その人なりの考えや立場、感情があります。話の内容によっては、愚痴主への反論ともとれるような発言があるかもしれません。
しかしそれは、賛成や同意はしないまでも、相手の意見をちゃんと聞きましょう。
生きている人間相手に愚痴っているのですから、そうした反応を得られるのも愚痴の醍醐味とも言えます。
4.上級者の愚痴
愚痴上手、と言うと少しおかしいですが、相手を必要以上に不快にさせない人がいます。
一つは「ユーモア」です。
ネガティブ感情(怒り、悲しみ、落ち込み)からスタートした愚痴なのに、なぜか最後は大笑いして締めくくる人がいます。
上手に「自分をコカシている」のです。一段下げている。それも聞いた側が「そんなことないよ」と慌てて否定しなきゃいけないような表現ではなく、思わず一緒に笑ってしまうような話し方です。
そして1つの問題に対して1回の会話で終了します。同じことを何度も繰り返しません。だから聞いている側としては「前回のアレはもうスッキリしたんだな」と理解し、また別の愚痴も聞く態勢を取れます。
もしどうしても同じ愚痴を2回聞いてほしくなったら、2回目は「相談」にしましょう。
どうしたら解決できるか、乗り越えられるか、次はどう行動すればいいか、などの、具体的=ポジティブな聞き方にすると、聞く側の気持ちもポジティブになれます。
5.まとめ
- 愚痴を言う前には、自分の気持ちの的を絞り、聞き手に求めるものを想定しておきましょう。
- NGワードに気を付けて、愚痴後の二次被害を防ぎましょう。
- 愚痴の内容によって、聞き手を選びましょう。
- 愚痴話が終わったら、相手に「聞いてくれてありがとう」を伝えましょう。
- 無限ループには気を付けて。
愚痴は心の「汗」のようなものです。頑張っていたり、色々思考をめぐらすからこそ出てくるものです。
流してスッキリしたら、頭と心を切り替えて、また頑張りましょう!