「〇〇べき」は最大3つまで

べき思考は3つまで
べき思考は匙加減・TPOが大事

「~すべき」「~であるべき」「~すべきではない」「~らしくあるべき」

など、「べき思考」は誰でも持っているものです。
大人や立場ある人だけでなく、子どもでも引退した高齢者でも。
自分の心の背筋をしゃんと伸ばすため、楽なほうへ逃げない、自分を成長させるためには有用かもしれませんが、数が多すぎたり、勢い余って他人に押し付けるような事態であれば有害です。

臨機応変に出し入れ出来るのでなければ、「最大3つ」までに絞りましょう

1.「べき思考」とは

「~~すべき思考」
自分や他人に対し、その人が直面しているケース(状況・状態)に関係なく、彼らは道徳的に「すべきである」「しなければならない」と期待すること。
これをアルバート・エリスは”must”に掛けて”musturbation”と命名し、デビッド・D・バーンズは「should構文(should statements)」と、心理療法家Michael C. Grahamは「世界を現実と違った形に期待している」と呼んだ。

wikipedia

一見正論です。ただし「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。

例えば「周囲の人に迷惑をかけてはいけない」、その通りですね。ただし、迷惑の定義が難しい
騒音や妨害行為などは迷惑ですが、緊急時に大声を出して助けを求めることは違いますよね。
けれど、「ご近所に迷惑だから」と必要な時でも自分を縛ってしまうなら、正論ではなく暴論です。

2.「べき思考」が問題となるケース

ある行為を指して「~すべき」「~すべきではない」は選択が可能です。
しかし個人の属性に対した「~べき」はどうでしょうか。

  • 女は~であるべき
  • 男は~であるべき
  • 大人は~であるべき
  • 子どもは~であるべき
  • 若者は~であるべき
  • 母は~であるべき
  • 父は~であるべき
  • 娘は~であるべき
  • 息子は~であるべき
  • 社会人は~であるべき
  • 妻は~であるべき
  • 夫は~であるべき
  • 学生は~であるべき
  • 正社員は~であるべき
  • 非正規社員は~であるべき
  • 外国人は~であるべき
  • 高齢者は~であるべき
  • 障がい者は~であるべき
  • 病人は~であるべき
  • 健常者は~であるべき

もっとあるかもしれませんが、その人が持つ属性に対する期待が「〇〇べき」になっているケースは多いです。

<事例>35歳、既婚女性、子1人、会社員、母が要介護

  • 女は~であるべき
  • 大人は~であるべき
  • 母は~であるべき
  • 娘は~であるべき
  • 社会人は~であるべき
  • 妻は~であるべき
  • 正社員は~であるべき
  • 健常者は~であるべき

目が回りそうです。そして息苦しさ満載です。誰がこれを100%守れるでしょうか。
しかし守ろうとしてしまうのです。当然ストレスになり、辛くなって病気になります

3.「べき思考」多くても最大3つまで

本当は1つに絞れるといいのかもしれませんが、現実的ではありませんよね。
なので、優先順位を決めましょう。

【事例35歳、既婚女性、子1人、会社員、母が要介護⇒ 勤務中に子どもが怪我をしたと連絡が入る

この場合、取るべき行動はたくさんあります。

  1. 母として病院へ駆けつける。子どもの許へ向かい、状態を確認する。意志の説明を聞き、今後の対応を相談し、学校へ連絡する。子どもを慰める。何故怪我をしたのかを考え、予防策を考える。
  2. 父である夫に連絡をとる
  3. 自宅にいる母に連絡をとる
  4. 会社員として、中抜けするか早退するかを決める。その為の指示を出し、不在時に対応を考え、上長に許可を取り、同僚部下に協力を依頼する。明日は詫びの品を持って配って回る。
  5. 帰宅後は通常通りの家事を行う
  6. 普段より就寝時間が遅くなったが、身だしなみは崩してはいけないから入浴して夜用のスキンケアをして眠る。翌朝は普段より早起きして子どものケアをしてから早出出社、昨日出来なかった仕事の確認とフォローをする。

仮定として書きましたが、きっと普通にこれだけのことをこなしているのではないでしょうか。
そしてパーフェクトに出来ないと、自分を責めてしまう。こんなに頑張っているのに。
パーフェクトどころか、半分出来れば十分だと思ったほうがいいです。
ただ、どこを100→50にするか、やらないか、の選択が必要になります。
その時の判断基準が重要です。
そして、一人一人みんな違うのです。

会社員であることを最優先するか、母としての自分を優先させるか、自宅の母の介護を優先し子は夫(父)に任せるか。

どれが正解かを決めるのは自分です。この場合は夫(父)との相談の上で、のほうがいいかもしれません。

4.常に同じでなくていい

<3>で最大3つ、優先順位をつける、と申しましたが、これも固定である必要はないと思います。
状況によって1つだけにするとか、優先順位を入れ替える、とか。
慣れないと難しいかもしれないし、自分が選択した結果を誰かに批判されるかもしれない。
けれどそれは一つの経験です。失敗かもしれないけど、間違いでも悪でもありません。

また、「〇〇べき」を一切考慮しない時間も大事です。
というか、むしろそうした時間を持っていただきたいです。
真面目な人は、何もすることが無い時に「リラックスしなくてはいけない」「ストレス解消のために何かをしなくてはいけない」と考えてしまいます。
それが自分にとって楽しいことならいいのですが、そうでないなら要注意です。


「〇〇べき」とは、中世の女性が付けていたコルセットのようなもの。
外見は美しく整えられますが、つけている本人は苦痛でしかありません。水も飲めないとか。

心のコルセットを外して、もっと自分を楽にしてあげましょう。

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