見守ることの難しさと大切さ

何もしないことの難しさと大切さ
「何もしない」とは「黙って見守る」こと

家族がうつ病になった時に一番大切なことは、実は「何もしない」ことです。
放置する、無視する、という意味ではありません。

本人が何かしたいと思うまで、じっと見守る。
手助けを求めてくるまで、焦らず待つ。
自分(サポート側)は無理に(必要以上に)うつ側に合わせない。

ことが必要です。
しかし、中々難しい。それは何故でしょうか。
そして「何もしない(見守る)」ことが、何故一番大事なのでしょうか。

家族に出来ることは?

厚生労働省HPの「こころの耳」に、このようなアドバイスが掲載されています。

「ご家族にできること」(厚生労働省「こころの耳」)

  1. いつもと違う様子に気づく
  2. 相談につなげる
  3. 療養を支える
  4. こころの病気への基本的な対応を理解する
  5. 自殺のサインに気づく
  6. 過労死の予防

どれもすべて大事なことです。
でもこうして列記されると「やることたくさんあるじゃん…」と思いますよね。
しかしこの中の「3.療養を支える」が、毎日の生活そのものになります。

支える、とは、特別な何かをすることではなく、本人の好きに過ごすことを認めて、好きに過ごす生活が続けられるように環境を整えることなのです。

何もしないではいられない理由

しかし、これが難しい。口で言うほど簡単ではありません

うつ病の初期急速に症状が悪化する急性期に該当するので、どんどん様子が変わっていく本人を前に、家族は慌てます。
丸一日布団から出られず、無表情になり、食欲もなく、虚ろな目で座り込んでいる家族を見るのは恐怖です。
その恐怖から逃れたくてあれこれ手を打ちたくなります。
そして何とか元の状態に戻そうと、励ましたり気分転換を勧めたり、刺激を与えようとしてしまいます。

しかしうつ病の人はそれが一番辛い。心配している気持ちがわかるから尚更です。
そして家族が慌ててやろうとしている対策は、本人が今までたくさん試して、でも効果が無かった対策であることがほとんどです。
初期のうつ病の人が求めていることは、ただひたすら休むことなのです。

うつ病急性期の変化に家族が付いて行けず焦ってしまう

何もしない=見守ることが大事な理由

何もしない、といっても、全て本人任せにすることではありません。
例えば職場の人間関係や過労が原因でうつ症状を呈してしまっている場合。

①職場と相談して一定期間休職する
②病院へ行って医師の指示を仰ぐ

この二つは必須です。療養生活の下準備です。

その上で、療養生活が始まったら、その後は本人に任せましょう
どうしたいか、どうするのがいいのかは、本人が一番よく分かっています。
一見何もしていないように見えるかもしれませんが、頭と心はフル回転です。
今まで辛かったこと、それに対する反省や後悔、反論、これからどうしたらいいのか。自分へのダメ出しの嵐です。
嵐が収まるまでは、中断させないでおきましょう。
ある日突然元気になることを期待しないで待ちましょう。
時間がかかる。これは何より覚悟しておく必要があります。

初期にしっかりたっぷり休養することで確実に回復に向かいます
初期にしっかり休養→確実に回復に向かいます

家族がすることは?

家族が毎日することは、衣食住の手配服薬の管理です。
服薬の管理は本人が出来ていれば家族がする必要はないですが、うっかり忘れてしまったり、副作用が辛くて自己判断で中断する人は多いです。副作用は主治医に相談しましょう。
そして、抗うつ薬は飲み始めてから効き目が出るまでに2週間ほどかかります。途中で飲むのを止めてしまうとまた一からやり直しになります。
薬の効果を待つためにも、「何もしない」で見守ることが重要です。

更に余裕があれば、「こころの耳」ページの中の「4.こころの病気への基本的な対応を理解する」をやりましょう。
受診後であれば、診断名が出ていると思います。うつ病、双極性障害、不安障害、適応障害、発達障害、統合失調症、など。
まずはインターネットで検索してみてもいいし、図書館で関連本を探してみたり、必要なら本を購入したり、当事者家族の会を見学したり、主治医に質問したり、市役所の福祉課に情報を求めることも出来ます。


知識武器にも防具にもなります。

じっと見守り、働きかけがあれば受ける。

それが「何もしない」時に大事な心の姿勢です。

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