自分を愛する方法
前回の「自分を愛するということ」で、
『自分を愛する方法は誰も教えてくれない』と書きました。
例えば学科の授業のように教科書があって教えてくれることはありません(道徳の授業はあるのに)。
では、どこで覚えていくのでしょうか。
それは、家族ですね。
ただ、最近耳にする「毒親」「親ガチャ」という言葉に表されるように、誰もが親から「愛し方・愛され方」を正しく学べるとは限りません。
自分を愛する方法は後から学ぶことは出来ます。
その最大の教科書は、「自分」です。
1.幼少期の親子関係からの影響は可変である
心理学で有名な「愛着理論」(Bowlby、J)。幼少期の「重要な他者(母親とは限らない)」との安定した関係が「内的作業モデル」として確立され、その後の人間関係に影響をする、という、かなりざっくりですがそのような発達理論です。
幼少期、と言われると、では大人になってからでは手遅れではないか、と悲しくなります。
自分はずっとこのままなのでは、と。
しかし、大人になってからも修復・回復することは可能です。
幼い子どもは周囲に親くらいしか人間がいません。
でも大人になれば、重要な他者候補は数多くいます。しかも自分で選択可能です。
そして、その人との関係性を構築し、内的作業モデルを修正しましょう。
自分が困った時、辛い時に駆けつけてくれる人がいることを知りましょう。
≪内的作業モデル≫
Wikipedia
乳幼児期における保護者(主に母親)との相互作用の中で形成される自己や他者に関するスキーマ(情報処理の枠組み)である。
例えば、泣いている乳児に対して母親が応答的に接することで、乳児は「自分は愛されるに値する存在だ」「母親はいつでも守ってくれる存在だ」などの自己・他者に関するポジティブなスキーマを形成する。
一方、非応答的な母親の下で育った乳児は「自分は愛されない存在だ」「母親は助けてくれない」などの自己・他者に関するネガティブなスキーマを形成する。
これらのスキーマは、母子関係を超えてその後の対人関係に応用される。
2.瞬間・瞬間の自分の感情を見逃さない
大人になると、「どうしたいか」<「どうあるべきか」で行動することが増えてきます。
「どうしたいか」を我慢する理性が成長したからでもあるし、「どうあるべきか」を知り、その重要性を理解しているからでもあります。
しかし一番は、周囲が「どうあるべきか」を求めていることを感じ取るから。
状況・タイミング・自分の立場に合わせてどう振舞うべきかを考えその通りに行動するのは素晴らしいことです。
しかし、常に「どうあるべきか」ばかり意識し続けると、「どうしたいか」がどんどん霞んでいってしまいます。
最終的には自分では感知できないレベルまで。
感知できなくなると、どうなるでしょう。
「〇〇したい」という気持ちはあるのに、その欲求を満たすことなく放置し続ける
↓
欲求不満が強くなる
↓
どこかで爆発する⇒うつ病、適応障害、その他身体疾患
なので、「どうしたいか」という今この瞬間の感情に意識的になり、気づくようにしましょう。
すぐに満たすことは出来なくても、どこかでふと思い出します。
「そういえば、〇〇したいんだった」
時間や気持ちに余裕があるときだから思い出すし、余裕があるから欲求を満たすことも出来ます。
3.自分の感情表現方法を知る
泣いているから悲しいわけではなく、泣いていないから悲しくないわけではない。
感情表現は人それぞれです。
だから、自分が悲しい時、辛い時はどんな状態になるのかを、知っておきましょう。
悲しい時、表情はどうなっていますか。頭に浮かぶ言葉は何でしょう。
気が付けば口にしている飲み物はなんですか。どこに行きたくなりますか。
一人になりたいですか、誰かに会いたくなりますか。
同じことを、楽しい時・嬉しい時・怒っている時にも応用しましょう。
感情そのものの気づくことが出来なくても、無意識の行動や思考から、気づくことが出来るようになります。
自分が発する内なるSOSに気づく=自分を愛する、ことになります。
自分が求めているものは自分の中にヒントがあります。
ただ、自分一人で満たすことは難しい場合があります。
自分を愛するためのきっかけや方法を、自分自身から見つける。
そして満たす時は誰かと一緒に。
その繰り返しや輪の広がりが、幼少期に構築しきれなかった人間関係のモデルを作り上げ、今後の生活を豊かに支えてくれるでしょう。