助けを求めるスキルを身につけよう
困っている時、出来ないことを前に途方に暮れた時。
他の人に助けを求めることが、意外と出来ないものです。
助けを求めることは「怠け」でも「逃げ」でも「甘え」でもありません。
どうやったら助けを求めることが出来るようになるでしょうか。
1 出来る人ほど一人で悩む
メンタルヘルスを損ないがちな方は、得てして優秀で責任感が強く、自分を律することを良しとするタイプが多いです。
全て長所ですが、その分人に頼ったり甘えたりすることが苦手です。
結果として一人で抱え込み、誰も気づかないまま、または誰かからの手助けを拒否しながらどんどん辛くなっていってしまうのです。
強い責任感ゆえに、キャパオーバーした負荷を一人で背負い込みながら「自分の力で何とかしなければ」と頑張ってしまいます。しかし無理を重ねればどんどん辛くなるし、体調も悪化して効率が下がりミスも増えます。
無理をし過ぎていることには気づかず、自分の能力不足と解釈して自信喪失につながってしまいます。
とてももったいないですよね。
2 助けを求められないのはどんな人?
こんなタイプの方は、SOSを出すのが苦手です。
- 人に頼られることが多い
- ずっと優等生だった
- 成功体験が多い
- 自己肯定感、自己効力感が高い
普段から人に頼られている人は、周囲からしっかり者と思われているため、少しでもネガティブなことを漏らすと「らしくない」などと驚かれてしまいます。その反応を見てSOSを引っ込めてしまいます。
ずっと優等生として生きてきた方は、弱音を吐くことは失点だと捉えがちです。弱音は人間味であり、他者に共感してもらえることで弱点ではなく自分と向き合って受け入れる準備が整うことを知ってください。
成功体験が多い方も他者に助けを求めにくいです。「自分ならなんとかできる」という自負が強いため、キャパオーバーになっている現実に気づきづらいです。
自己肯定感、自己効力感が高い方も同じですね。本当の意味でこれらが高い方はメンタルが安定しているので、出来ないことがあれば素直に「出来ない」といえますが、頑張って高いレベルを維持しようとしている人はまだ不安定なため、助けを求めることで自己肯定感が下がってしまうのでは、と誤解しているかもしれません。
3 助けを求めるメリット
他者に助けを求めることには様々なメリットがあります。
- 自分の問題や悩みを言語化出来る
- 新しい視点が得られる
- 具体的な手助けを得られる
- 辛い状況を知ってもらえる
- 配慮してもらえる
自分の辛さを誰かに伝えようとしたら、まずはそれを言葉にする必要があります。この作業をすることで、自分がどんな手助けを必要としているか、何に躓いているのか、を気づくことが出来ます。
他者を頼ったとき、何かしら反応があるでしょう。それはそのまま新しい視点になり、解決や乗り越えるためのヒントになるかもしれません。
具体的に「じゃあ○○は私がやるよ」とサポートを提供してもらえるかもしれません。小さなものであっても、物じゃなくてもその気持ちを示してもらえるだけで気分が楽になります。
辛い状況にあることを知ってもらえるだけでもメリットがあります。現状以上に負荷が増えることが無くなるからです。
4 助けを求めるスキルの習得方法
では、他者に助けを求めるスキルはどうやって身につければいいでしょうか。
- 自分の限界を知る:言語化する練習(SNS、日記、ジャーナリング)
- 限界を超えるもの・他の人がやったほうが早いことをピックアップする
- やって欲しいことを頼む相手を探す
- 助けてもらったら「すみません」ではなく「ありがとう」
- 誰も思いつかなかったら公的機関・専門家
まずは自分の限界・許容範囲を知りましょう。
どこまでなら自分が請け負えて、どこから先は出来ないのか、不安を覚えているのか、の仕分けをします。
これには「言語化」が役に立ちます。
日記やジャーナリングなどで、自分の気持ちを文章にして再認識しましょう。
過去の日記やSNSの投稿があれば、それも含めて得手不得手を分析出来ます。
次に「この部分・この先は自分よりも他の人にお願いしたほうがいい」というものが見えてきます。
それをお願い出来る人を探しましょう。
引き受けてもらったら、「すみません」ではなく「ありがとう」を伝えましょう。言っている側としては同じ意味ですが、どちらサイドに立った言葉か、が違います。
「すみません」は自分側に立った言葉です。本来自分がやらなければいけないと思っていたことを肩代わりしてくれることが「申し訳ない、でも助かった」という目線です。
「ありがとう」は相手目線です。自分自身の申し訳なさは一旦横へ置いて、手間をかけてくれた相手への感謝です。
どちらのほうが相手に喜ばれるかは明白ですよね。
もし頼る相手が誰も見つからなければ、遠慮せず公的機関や専門家を頼りましょう。
場合によってはお金がかかるかもしれませんが、その分遠慮は必要ありません。どんどん頼って甘えて支えてもらいましょう。